安定してまとまっているGibson L-50 と 暴れん坊な Chaki P-1

ピックアップの付いていないアーチトップギターが好きで、今までに何台か所有してきた。いわゆるピックギターと呼ばれるギターだ。

ピックギターは、フラットトップのアコースティックギターと違って、ちょっと詰まったような鳴りがする。詰まったところからパーンと音が弾け出るような感覚だ。

この弾け出る感覚が気持ちよくて、GibsonのL−50という、1950年代に作られた廉価版のギターをいつも手元に置いてある。これを爪弾くと、ピッキングの強さによって丸い音になったり、ジャキジャキした音になったりするので、その感触に魅せられる。ネックグリップが程よく太くて弾きやすいのも良い。

L−50は年代によって色々と仕様が違って、一度30年代製のものを触ったことがあるけれど、バックがフラットなせいもあってか、まっすぐ前に出てくるような音がしてとても良かった。値段も20万円しないくらいだったので、もしもお金があったらきっと買っていた。ネックグリップも、もっと太いかと思っていたのだが、50年代のものとさほど変わらず、ネックヒールに近い部分が若干太めかというぐらいだった。本当にいいギターだった。Gibsonは廉価モデルでもあれだけいいギターを作れるんだからすごいと思う。

40年代製のシルクスクリーンのスクリプトロゴのやつを弾かせてもらったこともあるけれど、あれも良かった。値段は30万円近くしたらしいけれど、音に個性があって魅力的な楽器だった。音がジャキジャキしてくるまでのキャパシティーが広い楽器で、単音で普通にピッキングすると丸い音がするのだが、強くストロークするとジャキジャキ鳴った。トラスロッドは入っていたが、ネックは50年代よりもちょっと太めで、握りごたえがあった。

50年代のモデルは、今の所どれもハズレがない個体に当たっている。その中で一番気に入った一台を買った。私が持っているのは確か58年製だったと思うが、シリアルが消えかかっていてよく分からない。トップが単板プレス成形のモデルだ。

もう一台ピックギターでよく使っているのが ChakiのP-1という日本(京都)製のギターだ。ギブソンのコピーのヘッドシェイプなのだが、ボディーサイズは17インチでL−50よりも大きめだ。

私が持っているChakiにはどこにも品番らしいものは記載されておらず、仕様からおそらくP−1だと推定している。

総ラミネイトボディー、つまりベニヤ板で作られているギターだ。ネックはメイプルでエボニー指板。この、P−1というギターは憂歌団の内田勘太郎さんが使っていたから有名になった。決して高級なギターではないし、値段もそんなに高価ではないのだが、少量生産のため、あまり市場に出回らない。

Chakiは人気があるらしくて、ヤフオクなんかでもそこそこいい値段が付いているけれど、当たりハズレが多いのは確かだ。いや、ピックギターそのものがかなり当たりハズレがあっていいのを見つけるのは難しい。実際に買ってしばらく弾いてみないと判らない箇所もあるけれども、実際に一度手にとってみれば良し悪しは大体わかる。

今まで7〜8台のChakiを試奏してきたけれど、どれも全然鳴らなかった。ならないうえに、ジャキジャキだけはしているので、どうも低音が物足りなかった。それか、音がこもりすぎの個体が多かった。

私が持っている個体も、ちょっと個性が強くて、うまく鳴らすにはコツがいる。弱いピッキングで鳴らすのが難しい。強くピッキングするとバーンと鳴るのだが、音がものすごく暴れる。ギブソンのような上品なまとまりはない。

けれども、この暴れる感じと、弱いピッキングでチープになる感じが好きで、手元に置いている。きっと、メイプルネックにエボニー指板という組み合わせと、総ベニヤ板のボディーがこの音の大きなファクターなんだと思う。こう言うギターはテキトーに作ってもなかなか作れない。チャキの老舗ながらのノウハウが詰まっているんだろう。

プロとして現場で使うわけでなく、自宅で爪弾く程度なので、こう言うギターはとても良い。持っていて本当に良かったと感じる。できることならいつまでも手元に置いておきたいギターだ。これだけ、自分の好みにあった暴れ方のするギターは見つからない。

あと、 チャキは製造の年代によって造りやパーツのクオリティーがまちまちで、70年代ぐらいのチープなやつが好きだというファンが多いらしいのだが、私個人としてはもっと新しいグローバーペグが付いて、エボニー指板の仕様のモデルが好きだ。フレットの仕上げが全然違うので、70年代のモデルはリフレットしたほうがいいかもしれない。