ジャケ写が苦手で聴かなかったアルバムTed Curson

Ted CursonのPlenty of Hornというアルバムがあって、ハードバップのなかなか渋い名盤なのだけれど、ずっと聴いたことがなかった。最近やっと購入して改めて聴いている。

テナーサックスとの2管のクインテット編成なのだけれど、途中でエリックドルフィーがゲスト参加していてフルートを吹いている。エリックドルフィーをじっくり聴いたことは無いのだけれど、それを抜かしても、なかなか渋くキマっている。

エリックドルフィーなんかが参加しているからてっきりかなり前衛的なジャズを聴かせてくれるのかと思いきや、Ted Cursonはオーソドックスなハードバップ、ちょっと古臭いぐらいのスタイルで攻めてくる。

実はこのアルバム、私がずっと今まで聴いて来なかったのは、ジャケ写のせいなのである。とにかくレコードジャケットからただならぬジャズの雰囲気が醸し出されている。なんというか、フリージャズというか、いやそれともちょっと違うな。なんというか、前衛的な雰囲気だ。あの、 Ted Cursonが手にするピッコロトランペット(ポケットトランペットか)がなんとも怪しい。普通のハードバップのアルバムのそれでは無い。

それで、ずっと聴くのを避けてきた。

テッドカーソンは、ずっとミンガスのバンドにいたらしいので、そういうヤバイ雰囲気があるのは必然なのだろう。なんというか、やっぱり普通のアドリブの感覚とも違った、やぶれかぶれさというか、やけっぱちというか、そういう印象を時々受ける。

きっと、トランペットはものすごく上手いのだろうけれど、いや、実際上手いのだけど、粗雑さというか、乱暴さというか、勢いが良いというか、そういうものがある。田舎者の私が勝手に抱く江戸っ子のような印象だろうか。なんだか、こういうアルバムを聴いているのがバレると先生に怒られるきがする。なんの先生なのかはわからないけれど。よい子には聴いて欲しくないアルバム。

それもこれも、レコードジャケットを見ないで聴いたらかなり印象は違うのだろうけれど、このジャケットを見ると、なんだかジャズの開いてはいけない一ページを開いてしまうような気がする。

A面はそんなでも無いのだけれど、先に書いたようにオーソドックスなハードバップな内容なんだけれど、B面から漂うなんというかこの複雑な空気感、これがこのアルバムをさらに怪しくしている。それもレコードジャケットのせいなのだろうけれど。

ハードバップが好きであれば、ぜひレコードラックに一枚置いておきたいアルバムです。

Hipshotを取り付けたパーツキャスター

テレキャスターのBベンダーというものをどのように使うかは知らないが、HipshotのBベンダーを取り付けたテレキャスターを一台持っている。

Bベンダーは後付けなのだが、これも半年ほど前、値上がりする前に駆け込みで購入したものだから購入優先で、使い方は後付けという品物である。

ただ、パーツキャスターも含めテレキャスターをたくさん所有しているので、1代くらいはBベンダーが付いていても良いだろうということで、一番出来の悪いパーツキャスターに取り付けた。出来の悪いのに限って、なかなか気に入っているのだから世話は無い。

今日、それを久しぶりに引っ張り出してきて、いじっていたが、やはり使い方はわからない。2弦のBをC#にすることによって、一体どんなことが可能なのか。ペダルスチールの効果があると聞いたことはあるけれど、ペダルスチールギターについている全音上げのペダルは、VImコードをIメジャーコードに変えるペダルぐらいなので、これをギターでやるとすると、BストリングよりもむしろGストリングを全音上げた方が都合が良い。

とにかく、使い方がよく分からない。

よく分からないけれど、こういうガジェットは付いていれば付いているほど自己満足できるので、十分役目は果たしていると思う。

とりあえず、ジェリードナヒューでも聴きながら考えるか。

Joe Newmanの唄

Joe Newmanが好きである。カウントベイシー楽団で吹いていたトランペッターの中でもかなり好きな方である。いちいち上手い上に、分かりやすい。小難しいことはあまりやらずに、ソロもコンパクトに収めてくる。こういうトランペッターが良い。

半年ばかりペダルスチールギターもののジャズを聴いてきたが、ペダルスチールの複雑なハーモニーにちょっと疲れてしまい、今はしばらくトランペットもののジャズを聴いている。トランペットは単旋律なので良い。難しいことをやっていても唄がある。

ペダルスチールのジャズもなかなかあれはあれで良い。普通の楽器ではなかなか再現できないサウンドとコードワーク(コードの構成要素から省略する音符が独特である)によって、あの楽器でしか創り出せない音楽がある。ペダルスチールのスタンダードなジャズも良いけれど、ノンペダルのスティールギターで演奏されるウエスタンスウィングも良い。長時間聴くに耐えうる音楽である。

しかし、四六時中ペダルスチールのことを考えていたら、ますますあの楽器がわからなくなってしまった。もっと、基礎的な練習をしなければならないのだけれど、初めっから基礎的なやつばかり聴いていては面白く無い。それで、思いっきり複雑なハーモニーのやつを聴いていたら、自分の楽器の練習とかけ離れてしまい、なんだか頭がこんがらがってきてしまった。

そこで、トランペットの小唄ものに切り替えた。

おりしも、自宅では妻と娘がトランペットを嗜んでいる。先般、先生に習い始めたのだ。私は人にものを習うのが苦手なので習ってはいないが、私も時々練習をはじめた。トランペットの練習は時間を選ぶのでペダルスティールギターよりも制約が多いのだが、ペダルスティールは10分も練習すると頭が疲れてしまうのだが、トランペットの練習は体がバテるまでは続けられる。(ご近所や家族には迷惑な話なのだけれど)

それで、トランペット機運が盛り上がってきていて、トランペットもののジャズを聴くことにしたのだ。なんせ、トランペットものといえば、チェットベイカーが好きなのであるけれど、あればかり聴いていては心が暗くなってしまう。理想のトランペットの音色はチェットのような柔らかな音色なのだが、せっかく聴くならああいうのと併せて、明るく元気なやつも聴きたい。

そんなこともあり、今日会社帰りにディスクユニオンに寄って、Joe NewmanのCDを購入してきた。Joe Newmanがどれほどリーダーアルバムを出しているのかは正直言って知らないのだけれど、彼のトランペットは明るく明瞭なので、アルバムもそういう気分で聞くのであれば、だいたいどれもハズレは少ないと思う。

今日聴いているのはSoft Swingin’ Jazzというアルバムなのだけれど、これも小気味良いジャズを初めっからどんどん繰り出してくる。私の大好きなハモンドオルガンのシャーリースコットとの共演版である。Joe Newmanはミュートでもオープンでも機嫌よくトランペットを吹いている。

ジャズは、こういう難しく無いアルバムが少ないと思う。とくに名盤の誉れ高いアルバムはどれも先駆的であったりして、どうもこう、純粋に楽しんでしまおうという気分になれないものの多い。スリリングさを求めるならばハービーハンコックの処女航海とかああいうようなアルバムの方が良いのかもしれないけれど、私が今聴きたいのはそういう難しいジャズではなくて、とにかくノリの良い、楽しく唄うジャズなのだ。

そして、このアルバムJoe Newmanが歌いまくっている。いや、文字通り唄っているのだから、ぜひ聴いてみてはいかがだろうか。

高価な譜面台

私は音楽が好きで、道楽でいろいろな楽器をいじるのだけれど、実を言うと楽譜はほとんど読めない。もちろん、どこがドだとかそういうことはト音記号とヘ音記号についてはわかるのだけれど、それ以外についてはからきしである。

それ以外、それ以外とはなんだ、音符がわかれば大体わかるでは無いか、と言われたことがあるけれど、あの、休符とか付点八分音符なんかが出てくるとリズムが取れないのだ。途中でわからなくなってしまう。これでは困ったことに、ピアノ譜でもなんでもわからない。

だから、大体はあてずっぽうに吹いたり弾いたり、歌ったりしている。

幸い、コードは読めるので、ピアノで右手で四分音符を刻んでいる分には苦労しない。それが、ギター譜やら、ペダルスチールの楽譜なんかに至っては、まったく読めない。謂わゆるTAB譜の類も読めない。なので、練習が大変である。いちいち音源を用意して、それで楽譜で音符を読んで当たりをつけて練習する。おかげで正確なリズムで覚えていない曲が多い。

複雑なジャズのソロを採譜したやつなんかを見ても、ディテイルがわからないので練習にならない。まあ、そもそも練習をあまりやらないので大勢に影響は無いのだけれど、楽譜が読めないというのはどうも具合が悪いのである。

そんな私も、今日楽譜というものを買ってきた。ハイドンのトランペットコンチェルトの楽譜である。

ハイドンのコンチェルトは、もちろん大作曲家の曲なので大変名曲なのだが、大変目曲の割に楽譜がシンプルである。(だからと言って簡単なわけでは無いけれど)とにかく、リズムもなんとなくわかる範囲で書かれている。わからないところはCDを聴けばいい。

それで、買ってきて、吹いてみたのだけれど、案の定なかなか手強い。音符の数が多く無いため、綺麗な音色、正確なリズムで吹かなければ途端に惨めな演奏になってしまう。(初めは練習曲からにすればよかったか)

それでも、なんとか一楽章はカデンツァ以外はゆっくりであれば吹けなくも無いようになってきた。書斎の譜面台は、私のピアノである。アップライトピアノである。家を買ったときに、ピアノが欲しくて欲しくて、買ったアップライトピアノが今は書斎にある。これを譜面台にして練習している。高価な譜面台である。

今となっては貴重なCouesnon

フリューゲルホルンという楽器をご存知な方は、その名を一度は聞いたことがあるであろうケノン。私は、どうもこういう不遇の楽器が好きなのです。

ケノン、立派ではないか。全然不遇ではないではないか。と思われるかもしれない。ケノンを不遇などと呼ぶのはケシカラン!!と叱責いただくかもしれない。

申し訳ない。ケノンは立派です。ケノンはいい楽器です。でも、中古市場では酷い扱いを受けております。ケノンは、本気の楽器演奏者にはあまり好かれていないような気がします。

無理はありません。ケノンはどうも個体の良し悪しにばらつきがあります。とっても高級な機種(そんなのがあるのかどうか知りませんが)なんかだと、例えばモノポールとかスターモデル(?)なんかだと良い楽器ばかりなのかもしれませんが、大抵中古で出回っているケノンは、あまりいいコンディションではありません。

どちらかといえば、どこかのマーチングバンドで荒く扱われていたような、そういう類いのベコベコに凹んでいるものや、改造がなされているものばかり見かけます。

私の持っているケノンも、そういった類いの「実戦」で使われていたような楽器です。凸凹になっているし、3番抜き差し管にはトリガーが後付けされてます。あろうことか、マウスパイプもレギュラーシャンクのものに交換されております。ケノンなのに、ケノンシャンクではないケノン。これはなんだか気の毒になってしまいます。

しかし、いい音色がするのです。柔らかく、暖かいいい音色がするのです。こういうのはケノンでなくても出るのかもしれませんが、そうでもないかもしれません。

学生の頃、出始めのXOのフリューゲルホルンを持っておりました。社会人になって、ずーっとトランペットを吹かなかった時期があって、もう2度と吹くことは無いだろうと思い、売ってしまいました。XOのフリューゲルも赤ベルにシルバーメッキのなかなか本格的なやつを持ってましたが、あれもなかなかダークな音色が出ましたが、ケノンのような麗しい高音は出なかった。出なかったような、出たような、気がします。記憶が曖昧で全然覚えていないのです。

しかし、ケノンを手にいれてから(いままでケノンのフリューゲルを2台所有しております)フリューゲルの音色が好きになりました。フリューゲルだけ手に提げて、いつかはジャムセッションにでも参加できるようになりたいとすら思います。

ケノンは、上品な感じともちょっと違いますが、高音が柔らかく出すことができます。 XOのやつは高音を吹いたときにトランペットみたいな音色で鳴ったような気がします。いや、もう10数年前に手放したから、正直全然覚えていないのですが。

どこか、頼りない柔らかく優しい音色のケノン、これからも大事に吹いていきたいと思っています。

ケノン、といえば、トムハレルでしょうか。彼は、素晴らしい音楽を奏でます。ああ、トムハレルみたいに吹けるようになりたい。