なかなかできぬダイエット

コロナ禍で、運動不足気味になっており、体重は上昇の一途をたどっている。私としては不本意なのだが、体は言うことを聞かず、どんどん太っていく。すでに不惑を過ぎ、痩せた体型をキープすることは、とても困難になりつつある。どれぐらい困難かというと、 Gee Bee Racerの操縦桿を握るよりも難しい。

それでも、痩せたい。いや、痩せなければいけない理由がある。

その理由とは、着れる服がどんどんなくなっていくのである。夏の初めに、大きめのサイズのズボンを購入し、履いているのだが、来る秋冬のシーズンのクローゼットを開けたところ、時すでに遅し、ウエストが入らないのである。

これは、困った。緊急事態である。まさか、このまま秋に突入して、着ることのできる服(ズボン)がなく、下半身裸で会社に行くわけにはいかない。そんなことしてしまったら、ヘンタイである。それはいかん。それだけはいかん。

そうは言ったものの、食べる量を控えるとか、そういうことが簡単にできないのが人間の体の恐ろしさ。いくら痩せようとしても、お腹は勝手に空くのである。常に小腹は減り続け、とくに就寝前は腹が減り、常にパクパク食べていたいくらいである。

こういう時は、チアシードとか、こんにゃくなんかを食べてお腹を紛らわせれば良いのかもしれないが、そう簡単にいかないのが人間というものである。お腹は一杯になったとしても、頭(脳)が腹をすかすのである。

致し方ない。もうしょうがない。だから、一昨日から腹筋を始めた。

普通、腹筋といえば最低30回、多い人は100回とかやるらしいのであるが、そんなに簡単に腹筋30回できるような体であれば、今こんなことは言っていない。腹筋はできてせいぜい、15回。精一杯頑張って20回が関の山である。

それでも、やる。

やるとやらないのでは違うのである。今腹筋をしなければ、10月の衣替え以降、着て行く服がない。

世紀の名シンガー、Michael Bubleだってかつては太めだったけれど、痩せたではないか。痩せて、ブリオーニをカッコ良く着れるようになったではないか。彼は、歌うたいだから、太っているのも仕事の一部のようなところなのに、痩せたではないか。

いわんや、私などは、太っているのは仕事ではない。いや、むしろ太っていない方が裸で職場に行く羽目にならないので、痩せているのが仕事の一部のようなもんだ。

痩せなきゃ。

Michael BubleのMe and Mrs. Jones

今日はMichael Bubleを聴いている。

ブーブレなんて、今となっては時代遅れ感すらあるかもしれないけれど、聴いてみるとやっぱり上手い。音楽のサウンドには流行り廃りはあるのかもしれないけれど、歌の上手い下手はある程度絶対的な尺度なのかもしれない。上手い歌は聴いていて気分がいい。

Michael Bubleは昨年の夏頃に聴き始めた。それまでは、銀座の山野楽器でかかっていたのを聴いたことはあったけれど、自分でCDを買って聴くというほどのことはしなかった。何となく、山野楽器でかかっている音楽はヒップじゃないから意図的に避けていたのかもしれない。

昨年の夏に、ブーブレの歌うMe and Mrs. JonesをYouTubeで聴いたのがきっかけだった。Me and Mrs. Jonesは私が最も好きなバラードの一つだ。あの曲は淡々としている中にドラマがあるのがいい。オリジナルはBilly Paul。フィリーソウルの大御所だ。

曲のタイトル通り、Meと Mrs. Jonesの物語だ。毎日同じカフェで6:30pmに逢う二人。まさにソウルミュージックにぴったりの世界観である。Billy Paulの熱すぎない歌が良い。ソウルシンガーはパワフルに歌い切る人が多いけれど、この曲で彼は、少しナイーブに、ちょっと抑え気味に唄う。

私が初めてこの曲を聴いたのはTOKUという、ジャズトランペッターでボーカリストのCDだった。私が学生時代、テレビで彼が歌うのを聴いて、新譜で買った。TOKUのけだるいボーカルが、この曲にぴったりと合っていた。何とも豪華なことにRoy Ayersのヴィブラフォン、Grady Tateのドラムがバックを務めていた。このRoy Ayersのヴィブラフォンが良い。ベルベットのように曲の合間をすり抜けていくような音色。TOKUのBewitchingというアルバムだった。

ブーブレのこの曲も素晴らしい。ビッグバンドアレンジなのだけれど、ミュートトランペットが、この曲に可愛らしさを加えている。プロデューサー、デヴィッドフォスターの転がるようなピアノもさりげなくて良い。クライマックスでのビッグバンドのトゥッティのところでブーブレはぐっと抑えて唄いきる、そこがまたかっこいい。

Michael BubleのCall me irresponsibleというアルバム。まさに彼のボーカルの魅力が詰まった傑作だと思う。さすがはデヴィッドフォスタープロデュース、甘く、切なく、けれども甘ったるすぎることなく。オトナのアルバムに仕上がっている。エリッククラプトンのWonderful Tonightも含めて、スタンダードナンバー揃いの選曲も良い。

Me and Mrs. Jonesを聴いた、とても暑かった夏はすぐに過ぎ去り、秋になった。そして、早くもまた今年も夏になる。このアルバムは暑い夏の夜に程よく合っている。東京は明日から梅雨入りと聞いているけれど、また今年も、死なない程度に暑い夏がやってくることを心待ちにして。