Poor man’s Fender Twin! Peavey Vintage

もうかれこれ2年ぐらい、自宅のメインのアンプとしてPeaveyのVintageというのを使っている。その前までは、 60年台前半のフェンダーのTremoluxというマイナーなアンプを使っていたのだけれど、どうも調子が悪くなってきて、直しても直しても、ボソボソとノイズが出るだけになってしまった。真空管を交換しなければならないのかと思うと、また三万円コースだから、二の足を踏んでいる。

Peavey VintageはTremoluxが壊れる前から持ってはいたのだけれど、主にスチールギター用のアンプとして使っていた。100ワットアンプなので、歪ませないで大きな音が出せるのがスチールギターには魅力的だ。

このアンプの本当の魅力に気が付いたのはFenderのStevie Ray Vaughanを繋いだときだった。Fenderのアンプで鳴らすよりも、それっぽい音が出てきたので、嬉しくなって、それから通常のギター用アンプとして使っている。

Peavey Vintageというアンプも、かなりマイナーなアンプである。PeaveyのツイードアンプといえばClassicシリーズが有名で、私も産まれてはじめて親に買ってもらったアンプはPeavey Classic 20だったのだけれど、使いやすくて、それっぽい音がすぐに出せるアンプだった。今それは、妻の実家に置いてある。ぱっと見、Peavey VintageもPeavey Classicのように見えるので混同されるのだけれど、Vintageの方が10年以上古いアンプで、シンプルなアンプである。1チャンネルで、不器用なアンプである。

昨今のハイテクアンプは、一台で色々な音が出せるようにできているけれど、このアンプは、得意分野には長けているけれど、それ一辺倒で、色々な音は出せない。

見た目や使い勝手はFenderのツインに似ているのだけれど、プリアンプはソリッドステートで、ツインほどコンプレッション感は無い。そこが、なんともPeaveyらしくて潔い!!Fenderのような、高級アンプとは一線を画している。

私は、リバーブを常用するので、アンプにビルトインでリバーブが付いているのもありがたい。軽くリバーブをかけると、これがまたフェンダーのようなエロスの漂うリバーブとは異なり、ドライで素っ気ないところも使いやすくて良い。本物のスプリングリバーブなのだけれど、もう、ここまでこればデジタルでも良いのでは無いかと思うくらい素っ気ないリバーブである。(もっとも、この時代にデジタルのリバーブをギターアンプに搭載したものはないとは思うけれど)

これだけ、読むと、Peavey Vintageはなんだかただの安物アンプのような感じがするかもしれないけれど、そこが、実のところただの安物アンプには無い要素がある。そして、それがこのアンプを魅力的にしているのだ。

それは、音が暴れること。ブリティッシュアンプのように育ちの良いアンプには絶対に出せない、アメリカ製の、しかもPeaveyにしか出せない粗さがある。これは、昨今の高級ブティックアンプではなかなか出せない味なのだ。昨今のフェンダーのアンプにもこういうテイストのアンプは無い。無骨で、荒っぽい。これこそ、このアンプの魅力なのだ。

その、荒っぽさが、扱いきれないほどひどくはなく、かといって、ちょうど良くまとまりすぎてもおらず、時々手をやくぐらいなのが、所有している満足感につながっている。

おそらく、現行のフェンダーのツインを使っていたら、買ってすぐに飽きていたかもしれないけれど、このアンプに関して言えば、まだまだこれからガンガン使っていきたいと思っている。

ラジオが流れてくるギターアンプをどうにかしたい一心で勉強 木村哲 「真空管アンプの素」

ここ数日、前職の元同僚の真空管アンプをいじっていた。Epiphoneの40年代のギターアンプである。

修理していたといえば聞こえがいいけれども、実際は、完全に修理できる知識がなく、テスターで、電圧や抵抗値等を測りながら、やっとのこと音が出るようになった程度だった。そもそも、インターネット上を探しまくったのだが、回路図が見つけられず、似た回路のアンプを元に、チェックしたので、かなり怪しいチェックとなってしまった。

そもそも、電圧増幅管に6C6という、使ったこともない真空管が使われている。76という聞きなれない真空管も使われている。もう、ワケがわからない。なんとなく、大雑把な回路はわかったのだが、そこに何ボルト流れてるのが妥当なのか、とか、何オームの抵抗が妥当なのか、全然わからない。わからないから、なるべくオリジナルのパーツを残しながら、やられているパーツだけ交換した。

真空管はどれもへたっていた。へたっていたが、予算が許す範囲だけ交換した。

幸い、オリジナルの状態からほとんどパーツは交換されておらず、助かった。入力から出力までを、ザーッと目視したが、回路の変更等もなかった。だから、助かった。

助かったは助かったのだが、音は出ても、盛大なノイズが載る。電源からのノイズのようなのだが、ジー、という音がとめどなく流れる。これにはマイッタ。真空管アンプの動作の正確な知識がなく、似たような回路のアンプの回路図とにらめっこしながら弄っているわけだから、正確にどこがノイズの原因かはわからない。

電源周りの平滑回路の電解コンデンサーの容量を上げてやれば、ある程度はマシになるのかもしれないけれど、ワケがわからなくならないようにできるだけオリジナルのパーツと同じ値のものをえらんで交換した。

それでも、ノイズは収まらない。どこかアース不良があるのかもしれないし、それすらよく分からない。そもそも、ハンダが古いせいか、いくら熱しても外せなそうなところもあった。パーツを熱でダメにしたくないので、外すのを諦めた箇所もある。

そんなんだから、とても中途半端な修理になってしまった。

そもそも、初めは音が全く出ていない状態から、音は出るようになって、ボリュームとトーンコントロールはできるようになったのだけれども、ノイズは除去できなかった。心残りである。

もう一つ、困ったことがある。

このアンプが、ラジオを拾うのである。

アンプの電源をいれて、真空管があったまると電源ノイズが聞こえ始め、アンプ側のボリュームを上げると、ラジオ番組がかかる。洋楽なんかが流れてきて、ギターを弾いて一緒にジャムセッションできてしまうのではないかというくらいの音量でラジオがなる。こりゃ、入力信号を増幅しすぎなんじゃないか、と思うくらいラジオが流れる。ワケがわからない。

そんなわけで、アンプのチェックの大半をハングル語講座を聞きながら行った。アンプの勉強というよりも、ハングルの勉強になった。

これじゃあ、一体、ギターアンプなのか、ラジオなのか、どちらともつかない。どちらにしても、できの悪い代物になってしまった。

大変心残りであるが、今の私の知識ではこれ以上修理はできない。悔しいので、真空管アンプの基礎から勉強しなおすことにした。

木村哲さんという方の、「真空管アンプの素」、基礎の基礎から解説されていて、とてもわかりやすくて良いです。