今年も晴れてJapan Steel Guitar Association会員で居られる

日本国内では唯一のペダルスチールギターのメーカー、ファゼイ・ペダルスチールギター・プロダクツ。私も一台ファゼイのペダルスチールギターを所有しており、メインで練習しているのはファゼイの楽器だ。メインとはいっても、ろくに弾けないのだけれど。

ファゼイは藤井三雄さんというペダルスチールギター奏者が経営し、ご自身で設計製作を行っている。日本で唯一のペダルスチールギター製作者だ。私も、何度か工場兼オフィスにお邪魔して、ペダルスチールギターを修理・調整してもらった。藤井さんの楽器は壊れずらくて、弾きやすくて良い楽器だ。

舶来品の楽器も持ってはいるのだけれど、どうしてもアメリカの人は足が長いから、そのままでは楽器の脚も長すぎて、靴やスリッパを履かないと練習ができない。その点、ファゼイの楽器は日本人の足の長さに合わせて約1インチぐらい脚が短いので素足でも練習ができる。

もっとも、もしスタジオに持ち出して練習したり、万が一ステージで弾くようなことになったらそれは素足ではなく靴を履いて演奏するわけだから必ずしも脚が短い必要はないのかもしれないけれど、自宅で練習する分にはファゼイが一番ちょうど良い。そういうわけで、主にファゼイで練習している。

以前にも書いたかもしれないが、ペダルスチールギターというのは、ものすごく難しい楽器で、所有して5年以上が経つが、ほとんど上達していない。そして、ものすごく競技人口が少ないので、教則本の類も国内ではほぼ流通していない。仕方がないので洋書を買って練習するしかない。

E9チューニングであれば、まあ、それほど複雑なことさえしなければある程度は弾けるようになるのだけれど、C6チューニングに至っては、私はチンプンカンプンだ。けれども、なぜかE9とC6のダブルネックの楽器を持っている。いざという時は、ダブルネックの方が都合が良い(らしい)。

そんな私たち、ペダルスチールギターを志す者たちの強い味方がいる。Japan Steel Guitar Associationだ。

ここに入れば、年に数回会報が送られてくる。その会報に、スチールギターの楽譜が載っているのだ。しかも、TAB譜つき(年度末にCDも送られてくる)。

このTAB譜を頼りに、スチールギターをせっせと練習していれば、そのうち弾けるようになるはず。今までわからなかったカントリーのスタンダードも弾けるようになるはず。なのだが、なかなか練習できていない。

しかし、ここで挫折しないためにも、なんとか苦しい中で年会費を納め、今年も晴れてJapan Steel Guitar Associationの会員になった。そして、本日、会員証が届いた。

このJapan Steel Guitar Association、一体何人ぐらい会員いるんだろう。若手のペダルスチールギター奏者も会員なのだろうか?などと、いろいろな疑問はあるが、とにかくなんでも良いからこの会は続けて欲しい。

藤井さん。Japan Steel Guitar Associationの皆様。いつも大変御世話になっております。日本から、ペダルスチールギターの文化の火を絶やさないように、なんとか練習して弾けるようになります!!

今年こそ、なにか一曲、しっかりと弾けるようになるぞ。

なかなかできぬダイエット

コロナ禍で、運動不足気味になっており、体重は上昇の一途をたどっている。私としては不本意なのだが、体は言うことを聞かず、どんどん太っていく。すでに不惑を過ぎ、痩せた体型をキープすることは、とても困難になりつつある。どれぐらい困難かというと、 Gee Bee Racerの操縦桿を握るよりも難しい。

それでも、痩せたい。いや、痩せなければいけない理由がある。

その理由とは、着れる服がどんどんなくなっていくのである。夏の初めに、大きめのサイズのズボンを購入し、履いているのだが、来る秋冬のシーズンのクローゼットを開けたところ、時すでに遅し、ウエストが入らないのである。

これは、困った。緊急事態である。まさか、このまま秋に突入して、着ることのできる服(ズボン)がなく、下半身裸で会社に行くわけにはいかない。そんなことしてしまったら、ヘンタイである。それはいかん。それだけはいかん。

そうは言ったものの、食べる量を控えるとか、そういうことが簡単にできないのが人間の体の恐ろしさ。いくら痩せようとしても、お腹は勝手に空くのである。常に小腹は減り続け、とくに就寝前は腹が減り、常にパクパク食べていたいくらいである。

こういう時は、チアシードとか、こんにゃくなんかを食べてお腹を紛らわせれば良いのかもしれないが、そう簡単にいかないのが人間というものである。お腹は一杯になったとしても、頭(脳)が腹をすかすのである。

致し方ない。もうしょうがない。だから、一昨日から腹筋を始めた。

普通、腹筋といえば最低30回、多い人は100回とかやるらしいのであるが、そんなに簡単に腹筋30回できるような体であれば、今こんなことは言っていない。腹筋はできてせいぜい、15回。精一杯頑張って20回が関の山である。

それでも、やる。

やるとやらないのでは違うのである。今腹筋をしなければ、10月の衣替え以降、着て行く服がない。

世紀の名シンガー、Michael Bubleだってかつては太めだったけれど、痩せたではないか。痩せて、ブリオーニをカッコ良く着れるようになったではないか。彼は、歌うたいだから、太っているのも仕事の一部のようなところなのに、痩せたではないか。

いわんや、私などは、太っているのは仕事ではない。いや、むしろ太っていない方が裸で職場に行く羽目にならないので、痩せているのが仕事の一部のようなもんだ。

痩せなきゃ。

気分はDuane Eddy Guild X160

私は、ギルドというギターメーカーのエレキギターが好きだ。

好きな理由は、私の敬愛するギタリストMerle TravisもDuane EddyもかつてGuildのエレキギターをテレビで弾きまくっていたからだ。とにかく、この二人のかき鳴らすGuildのギター(スーパージャンボボディー)はド派手でかっこよかった。

この二人に憧れて、私もギルドのアーティストアワード(かつてのJohnny Smithモデル)とX160というギターを所有している。Artist Awardの方は、ボディーが馬鹿でかくて、日本人の私が持つとなんだか二人羽織のような、ギターにもたれているかのような状態になるが、音はものすごく良い。生で鳴らしていても、ものすごく気持ちが良い。すっきりとしたまさに高級ギターの音がする。

X160は、マイナーなモデルで90年代の一時期だけアメリカで作られていたモデルなのだけれど、これがまた、存在感があって良いギターである。ギルドの中では比較的廉価モデルなのだろうけれど、Dearmond製のピックアップが2発搭載されていてゴロリとしたごつい音がする。フロントピックアップの音も、甘すぎず、どちらかというと無骨で頼もしい。

カラーがオレンジで、ビグスビーお付いているので、ぱっと見グレッチのような見た目も良い。この楽器を楽器屋で見た時、初めは日本製のグレッチかと思った。ダイナソニックが搭載された6120かと思った。

あれ、へんな仕様の6120があるな、と思ったらギルドだった。

あんまり期待しないで鳴らしてみると、これがまたグレッチよりも箱鳴りがして、爆音で鳴らすとすぐにハウってしまいそうで、実際店のツインリバーブのボリュームを上げるとハウった。しかしながら、ルックスがいかつくて、なおかつグレッチではなく、ギルドのテイストを色濃く残していて、これこそが私の求めていたロカビリー/カントリーギターであると強く感じた。

アーティストアワードを買った時、もうギルドは上がりだと思ったが、アーティストアワードがあまりにも良いギターなので、ギルドというギターメーカーがさらに好きになった。このX160もまるで、さっきまでデュアンエディーが抱えていたかのような存在感があってすぐに気に入った。

家の、メインのアンプであるケンドリックのツイードアンプに繋いだら、気分は50’sのロカビリーマンセーの時代にタイムスリップしてしまった。

目下、ロカビリーを練習しているのだが、ロカビリーというのは奥が深くて、なかなか思うように弾くことができない。しかし、サウンドはロカビリーであるから、弾けなくてもデュアンエディーやらエディーコクランやらの気分に浸ることができる。

ギブソンやら、フェンダーやら、世に言うギターの最高峰はいろいろあるけれど、ギブソンやフェンダーは良い音がするのが当たり前すぎて、こういうギルドみたいなギターが一台あればなんだか自分だけ特別なサウンドを手に入れたかのような気がしてくる。楽器というのは、弾きやすさとか、音色とかもとても重要なのだけれど、私のようなアマチュアにとっては、楽器は気分が一番重要なのだ。気分が乗ってくる楽器があれば、弾けないフレーズだって何度も練習できてしまう。それに、あんな曲、こんなフレーズ、いろいろと弾いてみたくなる。

アメリカ製のグレッチなんかよりも作りが良くて、安心して練習に持っていけそうなところも気にっている。愛用のヘイマーとともに、私のメインギターとして、書斎に置いている。

アンプグルのアンプを手にいれた

エレキギターの音色を決めるのは7割がアンプだと思っている。

もちろん、優れたギター本体から紡ぎ出される音は、それぞれのキャラクターを持っている。時に荒々しく、時に枯れていて、はたまたカプチーノのようにクリーミーな音色のものや、凛とした音色の楽器もある。それでも、一旦アンプに繋いでしまえば、そのアンプの音の中に染まってしまう。

アンプ7割と書いたのは昨今のデジタルアンプのことではない。デジタルアンプも、それぞれの音は持っていて、かつ、ギター本体の持つオリジナリティーを再現できるものは存在するであろう。むしろデジタルの方が忠実なのかもしれない。それでも、やはりアンプはチューブアンプ(真空管アンプ)のほうが私は好きである。最高のチューブアンプは、どんなに優れたデジタルアンプにも勝る音と、レスポンス、弾き心地がある。

チューブアンプは、その重量やら、コンディションを保つ難しさ等で、今のプレーヤーは敬遠してしまうかもしれない。消費電力も半端じゃない。そのあたりについては、デジタルアンプには遠く及ばない。デジタルアンプは、電源さえ間違わなければ、めったなことでは壊れない(壊れたらユニット交換以外の修理はほぼ不可能だが)。酷使してもそう簡単には壊れない。それに比べて、チューブアンプは、簡単に壊れてしまう。

ソリッドステートのアンプも幾つかは持っているけれど、あれはあれで悪くはないのだけれど、チューブアンプの持つコンプレッション感や、弾き心地を味わえるようなものは少ない。少なくとも、私の持っているアンプで、ソリッドステートのもので、チューブアンプのようにふくよかでいて、個性豊かなクランチトーンを鳴らせるものはない。

それで、やっぱり真空管のアンプに行き着いてしまう。

行き着いた結果、何台か、チューブアンプを自作したりした。どれも、音が出るところまでは行くのだが、なかなか満足のいく音色にはならなかった。中には、フェンダーのヴィンテージアンプの回路をそのまま使って、パーツも手に入る限り良いものを使って作ったアンプもある。キットで買って、コンデンサやら抵抗やらを全て交換して、自分の納得のいくところまでチューンアップしたものもある。けれども、なかなかハムノイズが治らなかったり、特定の音で共振してしまうなど、なかなか満足のいく出来上がりになるものはできなかった。

私が、アンプ作りの教科書にしていた本があって、ジェラルド・ウェバーという人の書いたものである。100ぐらいの機種の回路図やら、レイアウトが掲載されていて、それをほとんど穴が開くぐらい読み込んだ。私にとってのアンプ・グルである。

この度、そのアンプグルの作ったメーカー Kendrickのギターアンプを中古で手にいれた。何箇所か改造箇所があるものの(勿体ない!!)ほぼオリジナルコンディションである。フェンダーのヴィンテージアンプのクローンなのだが、私は、かつてそのオリジナルのヴィンテージアンプを弾いたことがあり、素晴らしい夢のようなアンプだった。

Kendrickのアンプも、そのオリジナルのヴィンテージアンプとほぼ同じ音が出る。もちろん、ヴィンテージアンプよりも味付けは少し現代的で、ノイズも少なく、優等生なところがあるのだが、それも、嫌味ではない。ヴィンテージアンプは、いつどこがおかしくなるかはわからないので、なかなか面倒を見るのが大変である。その点、アンプグルのアンプは、新しいパーツで作られているので、安心である。

実は、アンプグルの本を読んで、Kendrickと全く同じ回路のアンプを自作して持っている。それはそれで、私が自作したアンプの中では良い音がするのであるが、この度、その2台を弾き比べて愕然とした。さすがアンプグル、たとえ生まれ変わったとしてもこの歴然とした違いは追いつくことすら不可能なレベルなのである。

いったい何が違うのか?つかっているパーツは、ほぼ同じものであるはずなのだ。

恐るべし、アンプグル。

もう、2度と自作アンプは作るまい。

ゴスペル万歳!! Cory Henry

今日は素敵なオルガンアルバムを手にいれた。

Cory HenryのThe Revivalというアルバム。ゴスペルオルガンをじっくり堪能できるアルバムだ。

私は、オルガンもののジャズが好きなのだが、オルガンジャズといえば、ジミースミスも、ジャックマクダフも、やっぱりどこかにゴスペルの香りがする。いや、ハモンドB3のサウンドそのものがゴスペルの音といっても過言ではない。

オルガンのジャズを語る上で、このゴスペルフィーリングというものを抜きには語れない。ジャズとゴスペルは、近いようで遠くて、モダンジャズなんかになってしまうと、教会音楽からのレパートリーは少なくなってしまう。グラントグリーンなんかは率先してゴスペルナンバーをジャズに持ち出して弾いているけれど、彼なんかは珍しい方で、モダンジャズ奏者の多くはジャズの根底に流れているアーシーな要素をあまり表に見せない。

その点、オルガンもののジャズは、ゴスペル調なものが多い。その理由は、オルガンもののジャズを演奏するためには、オルガンが置いてあるジャズクラブか、オルガンを持ち込むかもしくはオルガンが置いてある教会に行かなければならない。

教会で録音された、ジャズアルバムは、ほとんど存在しないのだけれど、それでも、ジャズのオルガン奏者の多くは教会で演奏する機会も多いだろう。

この、Cory Henryのアルバムは、正確にはジャズのアルバムではなく、どちらかというとゴスペルアルバムなのだけれど、教会でライブ録音されている。それが、またなかなか臨場感があって、観客もノリノリで、ほぼトランス状態である。

とにかく、強力なので、オルガン好きな方は、聴いてみてください。お勧めです。

Gene Ammons & Sonny Stittもうお腹いっぱいです!!

昨日に引き続いて、Gene Ammonsを聴いている。

今日は、 Sonny Stittとの共演ライブアルバム。God Bless Jug and Sonnyというアルバムと、その続編のLeft Bank Encores。

ソニースティットとジーンアモンズの共演板といえば、名盤Boss Tenorsが有名だけれど、そのコンビでライブを行っているアルバムは何枚かある。そのうちの2枚。

この人たちのデュエットアルバムは、ただただ吹きまくっていて、聴いていて疲れてしまうのだが、時々聴くとこれはこれで悪くない。なんせジーンアモンズもソニースティットも激しいテナー吹きである。図太い音でアドリブを延々と繰り広げる。その体力たるやすごいもんなんだけれど、アルバムとしてじっくり鑑賞するとなると、聴いている方もなかなか体力がいる。

それでも、この二人のアドリブ合戦は聴く価値がある。荒削りなところもあるんだけれど、ズートシムズとアルコーンのようなお洒落さとは違ったペーソスがある。

それに、これらのアルバムはバックを固めるメンバーもすごい。ピアノはシダーウォルトン、ベースはサムジョーンズ、ドラムはビリーヒギンスという、すごいメンバーで、ハードバップの大御所ぞろいである。

シダーウォルトンのピアノがかっこいい。テナーの二人は、ブルージーなソロを繰り広げるのだけれど、シダーウォルトンのピアノトリオとなると、一気にモダンにちょっとモーダルになる。Ugetsuをトリオでやっているのだけれど、シダーウォルトンの面目躍如。一気に弾きまくる。

1トラックの演奏時間がやけに長い(一曲17分ぐらい吹いている)のはご愛嬌だが、テナーバトル好きには、このぐらいじっくりやってもらったほうが嬉しいのではないだろうか。

学生時代の愛聴盤Boss Tenorsの拡張盤といったところだろうか。

クドいジャズをお好きな方にはオススメです。いや、いい意味で。

テナーのボス、 Gene Ammons

先日、私は41歳になった。

誕生日に、特にやることがなかったので、ゆっくり昼寝をした。ゆっくり昼寝をしたら、1日が終わっていた。41歳の誕生日にしては、上々の過ごし方だったと思う。

家を出ることもなく、日がな一日昼寝をしていたので、なんだか手持ち無沙汰になってしまい。アマゾンプライムで映画を見た。

便利な世の中である。夕方まで昼寝をしていても、映画を見ることができる。レンタルビデオ屋に行ったり、映画館に行く必要もない。すばらしい、環境である。

それで、映画を観ていたら、その映画のテーマ曲がGene Ammonsが吹くCanadian Sunsetだったので、無性にジーンアモンズのレコードを聴きたくなった。レコードラックを探すと、何枚かジーンアモンズのレコードは出てくるのだが、Canadian Sunsetが入っている大名盤Boss Tenorは見当たらなかった。学生時代に買って持っていたような気がしたのだが、あれは気のせいだったのか。

それで、仕方がないので、またアマゾンでジーンアモンズのBoss Tenorを購入した。翌日に届いた。またまた便利な世の中である。レコード屋に行かなくてもCDが買える。ついこの前までは、聴きたいCDがあっても、いざCD屋に行ってみたら無かった、何ていうことがしばしばあった。しかし、今は、私たちにはアマゾンがある。

それで、Gene Ammonsである。私は、この人のサックスが好きである。もっと名手のような人はたくさんいるけれど、ジーンアモンズのようにルーズでありながら、キリッとしたサックスを吹ける人は多くはいない。スコットハミルトンも私は好きなのだが、あのスコットハミルトンでさえ、時々ジーンアモンズのマネのような吹き方をする。

テナーサックスの王者は何と言ってもスタンゲッツであろう。それは間違いない。あんなに自由自在にサックスを吹ける人は他にいないんじゃないかと思うぐらい上手い。上手いだけでなく、グルーブ感も、力の入れ方も、力の抜き方も完璧である。そして、音に芯がある。

その昔、ジョンコルトレーンが、インタビュアーに「なぜあなたはスタンゲッツのように吹かないのですか」と野暮な質問をされたことがあったらしい。その時、コルトレーンは「もしスタンゲッツのように吹けたら、誰だってああいう風に吹くよ」と答えたらしい。らしいらしいで恐縮だが、スタンゲッツはそのぐらいすごい。

ジーンアモンズのテナーにはそういう要素はあまりない。もちろん、スタンゲッツのように力強いトーンは出せるし、フレーズ回しはブルージーときたもんで、なかなか説得力はあるテナーなのだが、スタンゲッツのようなお洒落さはあまり持ち合わせていない。

けれども、ジーンアモンズのサックスを聴いていると、サックスっていうのは、こういう風に吹くからこそかっこいいのではないかと思う。ルーズでいて、キリッとしてる。ペッペッペ、という唾を吐き捨てるようなタンギング。少しレイドバックしたノリ。それでいて、重すぎないスイング感。この人は、これはこれで最高なのではないか、「最高ですか?」「サイコーでーす!」みたいな説得力がある。

ただ、この人のいただけないところは、ダラダラと吹き込んでいるジャムセッションアルバム、いわゆるブローイングセッションが多すぎることだ。だから、ジーンアモンズ参加のアルバムには駄版も多い。しかし、プロデューサーがしっかり作りこんだら、この人ほどいい仕事をできる人は少ない。

まあ、一度じっくり聴いてみてください。ジーンアモンズ。

老けて太っても芸風は変わらないJohn Pizzarelli最高!!

2000年代に青春時代を過ごしたジャズファンなら、スコットハミルトン、ハリーアレンに次いでご存知の方も多いとおもうジョン・ピッツァレッリ(ジョンピザレリ)。私は、20代の頃大好きだった。

親父のバッキーピザレリ譲りの7弦ギターの鬼才!!スキャットともに飛び出す超高速ギターソロ、難しいことはやらないのだけれど、その分ハードコアなジャズファンにはあんまり認められていなかった。それでも、今聴いてみてもそのスインギーなカッティングは素晴らしい。

2000年代に最もスウィングしていたトリオと言っても過言ではないのではないか。(言い過ぎか)

今日たまたまジェームステイラーのYouTubeを見ていたら、ずいぶんバッキングが上手いギタリストが、横で弾いている。見覚えのない顔だけれど、やけにスウィングするし、やけに古いジャズに詳しい。何者だ!?と思って見ていたら、とちゅうでメンバー紹介の時に、

ギターは、ジョンピザレリ、

と言うではないか。びっくりして、何度もまじまじと見たが私が知っているジョンピザレリとはまるで別人であった。ジョンピザレリといえば、爽やかで、少年のようなおっさんという感じだったのだが、今じゃもうすっかり老け込んでしまって、横にいるジェームステイラーと良い勝負である。

驚いて、妻に話すと、妻がiPhoneで調べてくれて、やはりあのジョンピザレリだという、

そういえば、ジョンピザレリ、若い頃にジェームステイラーのカバーとかやっていたな、と思い、もう一度まじまじと見たが、やはりわからなかった。きっと別人だろう。と思わせる何かがあった。

しかし、そのギターの素晴らしくスウィングすること。こりゃ、本物のジョンピザレリだ。という風に独りごちた。

ジョンピザレリ、老けて太っても、永遠に私のスーパーヒーローでいてくれ!!

想い出の夏Toots Thielemans

今年の夏は短かった。

いや、今年は短かった。短くて、辛い一年だった。時ばかりが過ぎ、先に進めない一年だった。そんな一年を思い出し、レコードを聴いている。

今年40歳になった私は、転職し、生活も変わった。他にも色々あったのだけれど、よくは覚えていない。何となく、一年が過ぎていった。

本を読まない一年だった。もっと読めばよかった。体を動かさない一年だった。当然太った。携帯電話をいじってばかりの一年だった。目が悪くなった。楽器の練習をしない一年だった。バンドの練習もできなかった。ブログの更新をサボった一年だった。つまらないことすら書き残せなかった。

来年はどんな一年になるのだろうか。

これはToots Thielemansというハーモニカ吹きで、想い出の夏という曲。私が最も好きなバラードの一つ。ジャズのバラードで好きな曲はたくさんあるけれど、ミシェルルグランの書いた曲が好きだ。

ミシェルルグランの曲でHow do you keep the music playingという曲があるけれど、あれも美しい。フランクシナトラがクインシージョーンズのビッグバンドを従えて、歌っているのがとても好きだ。

私は、布団から出て、ボーとしている。時が過ぎていくのを感じながら、服を着て、

明日が来てもなにも変わらないのが常というものだ。明日が変わるのは、一年のうち今日ぐらい。今日から生まれ変わったように努力しなくては、明日も同じ自分でいてしまう。

なんの心配もなしに聴けるピアノトリオの名盤「Misty Red」

Red Garlandについては、ここで何度か書いたことがあるけれど、ジャズのピアノトリオで一番たくさんCDを持っているのはレッドガーランドかもしれない。

そもそも私はあまりピアノトリオを聴かない。ジャズは好きなので、CDもたくさん持って入るのだけれど、ピアノトリオのCDはビルエヴァンスとエロルガーナーと、レッドガーランドぐらいで、あとはあまり持っていない。

なぜ、ピアノトリオを聴かないのかは自分でもわからないのだけれど、長らくピアノの音が苦手だったせいもあるかもしれない。私は、以前ピアノ屋で勤めていたのだが、勤める前まではピアノ音楽は殆ど聴かなかった。ピアノの音がどうも好きになれなかったのだ。

仕事の関係で幾つか聴いているうちに、なんとか我慢は出来るようになった。クラシックも、ジャズも、少し聴くようになった。ピアノ屋がピアノ曲の一つも興味がないというのは、やはりちょっとまずいかなと思って最初は聴いていたのだけれど、聴いてみると、これはこれで全くダメというわけでもない。

まあ、ピアノを弾かない一般の方がわざわざCDを買って聴くような音楽は少ないが、その中でもなかなかいい音楽がある。

Red Garlandはそのうちの一つで、ジャズが苦手な方でも、ピアノが苦手な方でも、彼のピアノトリオの作品の中に一枚ぐらいは気に入るレコードがあると思う。レパートリーは広いし、極端に前衛的なこともしない。いつも安定していい演奏を聴かせてくれる。

今日聴いている彼の演奏もなかなかいい。

昨日、西新井のブックオフで購入した「Misty Red」という日本企画盤のピアノトリオ作品だ。結構晩年の作品に当たるのではないかと思うけれど、若い時から変わらず、落ち着いてスイングする彼のピアノを聴くことができる。タイトル曲のMistyもいいけれど、ここでは全てスタンダード曲が演奏されているので、どのトラックから聴き始めても悪くない。

このCD、存在は知っていたのだけれど、日本企画盤ということもあり、購入するのをちょっとだけ躊躇していた。日本企画盤には、独特の胡散臭さがあるからだ。よく言えば完成度が高く聴きやすいようになっていて、悪く言えば、どうも優等生すぎておもしろくない演奏のレコーディングが多いのだ。

しかし、よく考えてみれば、これはレッドガーランドのCDだ。危なげない演奏に決まっている。彼は、そういう名手なのだから。