ゴミ同然で手に入れたGretsch 6117

約10年前に、1964年頃製造のGretsch 6117、いわゆるDouble Anniversaryを楽器屋で発見した。その時は、ボロボロで、ゴミ同然の状態だった。ネックはかろうじてボディーにくっついていたが、いつ取れてきてもおかしくないような状態だった。

楽器屋に値段を聞くと、まだ値段はつけていないという。

値段が付いていないのでは仕方がないので、そのまま帰ろうとしたのだが、なんとなく不憫に思い、もし値段が出たら教えてくださいと一言伝えて、連絡先をおいて店を出た。きっと15万〜20万ぐらいにはなってしまうだろうな、と思っていた。その頃比較的綺麗な60年代のグレッチのアニバーサーリーはだいたい25万円ぐらいだった。

数日が経って、仕事をしていると、携帯電話が鳴った。楽器屋からだった。電話口でそのグレッチの値段を言われた時、思ったよりも安かったので、驚いたのを覚えている。

「ただ、状態が酷いんです。もはや楽器として機能しません。その上での値段です。」と伝えられた。

その日、仕事帰りに楽器屋まで飛んで行った。楽器屋で改めて見てみると、その楽器は酷い状態だった。ピックアップは最近のフィルタートロンに交換してあったのだが、どちらも高さが合わなかったらしく、ブレーシングを削って、大きなキャビティーを開けてピックアップがマウントしてあった。そのため、ブレーシングは折れる寸前で、出てくる音もガラガラという酷い音だった。

それでも、楽器屋にお金を払って、ギターを梱包してもらい店を出てきた。

そのあと、10年間のうち、2回ほどネックを取り外してリセットした。60年代のグレッチのネックジョイントの工作精度はひどく、いくらリセットしても、所詮は素人仕事、何度やっても起きてきてしまう。

今も、いつ何時またネック起きが始まるかはわからないけれど、弦を張り、2日が経過した。その間に、ネックの反りを直し、フレットを磨き、なんとか音が出るようにまで回復した。

ブレーシングはスプルース材で埋木してキャビティーのようになっていた箇所は直したのだけれど、まだガラガラという音しか出ない。それでも、買ってきた当初よりはだいぶマシになって、一応ハコモノの音が出るようにまでなった。

ピックアップは10年ほど前にヴィンテージのハイロートロンとディアルモンドの安物に付け替えたままだが、かろうじて良い音が出ているので、そのままにしている。

これ以上、このギターにお金をかけるわけにもいかないので、今できる調整だけしているのだけれど、いまでも、いつ壊れてきてしまうかはわからない。

ライブに使えるわけでも、練習に持っていけるほど頼りになるわけでもないけれど、大切な私の相棒。Gretsch 6117.

「ゴミ同然で手に入れたGretsch 6117」への1件のフィードバック

  1. 10年ほど前でしたか、リサイクル店でヤマハのYTR632を買いました。
    外側は意外なほどきれい。
    ただしピストンにフラットスポトがありました。それから、ベルのちょうどピストン付近のラッカーが荒れていました。おそらく、ピストンを指の第2関節辺りで押して、指先や爪が当たっていたのでしょう。
    迷いましたが、一週間後購入しました。
    ご存知かもしれません。このモデルは1977頃には製造中止になりました。かのニニ・ロッソさんが同634と共に愛用していたモデルです。僕が、小学生の頃、ヤマハのフラッグシップだった赤ベルのプロモデルです。
    オイルをいくつか試してみて、トロンバがあったようですが、それでもピストンの調子がよくなりませんでした。
    その後、僕はカスタムモデルやゼノを手に入れたのですが、ものぐさなもので、このプロモデルやカスタムモデルの相手をしなくなりました。
    手に入れてから数年後手放して、今は僕の手元にはありません。
    修理に出して使ってやろうかと思いました。僕の手で朽ちさせてやろうかと(いや、きっと632のほうが僕より長生きするでしょうけど)。素人考えでは、いわゆるラッピングが必要だろうと思いました。
    修理で有名なショップに問い合わせると、やっぱりそうで、ほかの修理調整と合わせると「新しいラッパが1本買えるくらい費用がかかる」とのことでした。
    今、そう後悔はしていないのです。
    だって、手持ちのゼノ2本で充分すぎるくらいだから。
    つい最近、ルディ・マックの13Cを手に入れました。オリジナルです。シャフトを削って、僕のゼノのレシーバーに合わせてもらいました。
    今慣らし中です。
    高い音が出しやすい。でも低い音が出にくい。
    それって、当たり前ですね!

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