Leon Russell “Roll Over Beethoven”

ちょっと、地元のラジオに手紙を書くんだ、

ロックンロールナンバーをかけて欲しくて、

ベートーヴェンなんて糞食らえ。今日もロックを聴かなきゃ。

 

という歌い出しのロックンロールナンバー、この曲のオリジナルはチャックベリーなんだけれど、ビートルズがカヴァーしているので有名だ。私も、この曲を初めてきいたのはビートルズ。そのあと、オリジナルのチャックベリーを聴いて、ジェリー・リー・ルイスのを聴いた。

最近YouTubeを見ていて、レオン・ラッセルが歌うこの曲に再会した。ロックのレジェンド、レオン・ラッセルである。

レオン・ラッセルと言えば、ジョー・コッカー等とバンドを組んで、ライブアルバム、Mad dogs & Englishmenのプロデューサー兼アレンジャーをやっていたり、カーペンターズの数多くのヒット曲を書いたりして有名なのだけれど、それだけでなくて、フィル・スペクターやらバーズ、クラプトンなんかの曲でピアノを弾いている。そして、なんといっても、名曲「 A Song for You」のヒットで知られている。

私は、高校の頃、彼のベスト盤を買ってから、そのCDを何度も何度も聞いてきた。ギターものばかり聴いてきた私のレコードラックには珍しいピアノもののロックである。

彼のピアノは、テクニック的には特になんというものでもないけれど、独特の怠いノリで、それがなんとも心地よい。上記のロックンロールナンバーでも、彼独特のレイドバックしたピアノを聞かせてくれるんだけれど、そのノリをギターで再現しようとしたのだけれど、どうもできない。

YouTubeの動画ではエレピを弾いているんだけれど、彼のピアノの音はエレピの登場以前から、こういうチープでギラギラとした音がしていた。ホンキートンクというのか、それともちょっと違うような気もするのだが、生涯この音で通していたような気がする。

ロックといえば、ギターというイメージがあるのか、ピアノもののロックはあまり語られることがなくて、かくいう私もピアノもののロックは、彼か、ジェリー・リーか、はたまはベン・フォールズぐらいしか持っていないから確かに語れることも少ない。それでも、レオン・ラッセルのピアノを聴くと、そこに確かにロックンロールというもののかっこよさが宿っていて、一朝一夕には真似できないものがある。まあ、どんな楽器でも一朝一夕には真似できないのだろうけれど、一見大したことはやっていないからこそ、真似するのは至難の技だと思う。

先に挙げたMad dogs & Englishmenのピアノもすごく、かったるそうに弾いていて、好感が持てる。レオン・ラッセルはいつ聴いてもこの調子だから良い。Mad dogs & Englishmenの中では、特に、リタ・クーリッジが歌う「Superstar」のバッキングのピアノがレオン・ラッセルらしさがよく出ている。

冒頭に引用したRoll Over Beethovenについて、レオン・ラッセルは10代の頃この曲のレコードをヒットさせている。その頃の彼は、もっとバリバリのロックンローラーなのだけれど、まだちょっとかたっ苦しさがある。デヴィッドレターマンのトークショーにゲスト出演した時、この曲を歌うレオン・ラッセルは、もっとずっと力が抜けていて、いかにもアメリカの南部のロックサウンドで、それがなんとも言えず良い。こういうサウンドは、暑苦しいから好き嫌いが分かれるだろうけれど、私はめっぽう好きな方である。

彼の演奏を聴いていると、ロックンローラーに求められる資質、スリーコードのロックサウンドを壊さないで自分流に味付けをすること、の重要さを感じさせられる。

レオン・ラッセル、暇なとき、聴いてみてください。

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