「Grant Greenのオルガントリオ」の魅力が詰まったクインテット作 「Am I Blue」

Grant Green、John Patton、 Ben Dixon、のトリオやこの3人がリズムセクションをやっているアルバムは、間違いない。グラントグリーンの ハードバップ時代のサウンドの一つの完成形がこのトリオでの録音だと思う。

グラントグリーンは様々なオルガンプレーヤーと共演しているギタリストだ。John Pattonの他にもBaby Face Willette、Jack McDuff、Larry Young。彼らと演っているアルバムも良い。それぞれが個性派ぞろいのオルガンプレーヤーである。名盤も多い。その中でもJohn Pattonと共演しているアルバムを推す。

グラントグリーンがお好きな人は、「Live at Lighthouse」なんかのもっとファンク色の強いアルバムの方が良いというかもしれない。確かにあれもすごい。すごいけれども、聴いていてちょっと疲れる。熱い演奏は聴いていて疲れるもんだ。

その点、ジョンパットン、ベンディクソンとグラントグリーンは熱くなっても、騒がしくない。おそらく、グラントグリーンが音数の少ないプレーヤーであるというのに併せ、ジョンパットンがノリはいいけどやや控えめなオルガンがいいんだろう。ソロも、不器用な感じがするぐらいあんまり派手なことはやらない。というよりも、ジョンパットンのソロは、ほぼシンプルな単音フレーズと、それらのフレーズの繰り返しによって成り立っている。けれども、絶妙なところで入ってくるバッキングも不器用な彼のソロも、オルガンジャズの魅力に溢れている。

そこに、ベンディクソンのドラムが絡む。ベンディクソンはきちんと盛り上げるドラマーである。すごく派手なドラマーじゃないけれども、曲にきちんとアクセントをつける。タメの効かせ方なんかは、もの凄いものがある。

グラントグリーンの寡黙でありながら雄弁なギター、ジョンパットンの不器用でありながら美味しいところを押さえているオルガン、絶妙なアクセントをつけてくるベンディクソンのドラムのバランスが、聴いている者を心地よくしてくれる。

このメンバーでの演奏をとりあえず、一枚聴いてみたいという方にオススメのアルバムはGrant Greenの「Am I Blue」。トランペットにJohnny Coles、テナーサックスにJoe Hendersonが入っています。フロントの二人ももちろんソロをとりますが、ソロの尺も短めで、管楽器がバリバリいう感じのジャズではなくて、ブルージーで、ゴスペル調の曲もあり、ほのぼのした感じがしてきます。

あくまでも、グラントグリーンがリーダーで、管楽器の二人はホーンセクションのような立ち回りをしているけれども、そのアレンジがまたこのアルバムのリラックスした雰囲気を作っている。グラントグリーンが弾くリードギターっていうのもとてもシンプルで自信に満ち溢れていていい。

このトリオで、もっとアルバム作ってくれたらよかったのに。

まあ、いつまでもこのサウンドばっかりもやってられなかったのだろうけど、Blue Noteレーベルの宝石のようなトリオです。騒がしくも、静寂でもないジャズ、これがジャズのある意味最も美味しいところなんじゃないかと近頃は思うのです。

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