Danny Boy, Ray Price

私はあまり映画を見ないのだけれども、時々気まぐれに見ることがある。

コーエン兄弟のMiller’s Crossingは好きで、3回ほど見た。見たと言っても  DVDかなにかでみたのであって、劇場で見たような気はしない。映画館で見ない映画鑑賞というのも、どうも味気ないもので、自宅の小さな画面で映画を見たところで、なんだか見たんだか見ていないんだかという気分がする。かといって、1,500円ぐらいを払ってまでして、見ようなんていう映画も少ない。

アマゾンでタダ同然に映画を見れるというのに、映画館に映画を見に行っている方々はどのくらいいるのであろうか。私は、先日しばらくぶりに映画館に行ったけれども、ガラガラでぜんぜん人が入っていなかった。前回、娘がドラえもんを見たいというので連れて行ったのがまだ冬だったから、かれこれ半年ぶりぐらいだろうか。その時、映画館に行ったのが約1年ぶりぐらいだから、1年に1・2度しか映画館にはいかない。自宅で映画のビデオを見るのも、一年に1・2度ぐらいだ。

そんな中、Miller’s Crossingは3回も見たのだから、結構よく見た方だと思う。あの映画は、ストーリー等はよく覚えていないのだけれど、途中で、マフィアのボスのレオが自宅にいるところをマシンガンを持った男二人に襲撃されるシーンがある。

そのシーンでは、ずっとダニーボーイがかかっているのだけれど、そのダニーボーイが好きで、そのシーンを見たくて繰り返し見たのだ。

映画の中では、Frank Pattersonが歌うダニーボーイが使われているのだけれど、私は、そのレコードを持っていないので、その代わりにRay Priceの歌うダニーボーイをよく聴いている。レイ・プライス若かりし頃の録音であるけれども、貫禄がたっぷりで、説得力がある。ちょっと凝ったアレンジになっているのだけれども、レイ・プライスの歌はオーソドックスで、ダニーボーイはこうじゃなきゃいかんとすら思う。

レイ・プライス(故人)はカントリーの大御所だったけれど、こういうトラディショナルな歌も十分歌いこなせていて、好感が持てる。カントリーシンガーは、フォークの香りも出せないとやっぱり本物ではないと思ってしまうのは、私だけだろうか。フォークやトラディショナルなものを堂々と歌いこなすのは難しいだろう。そういった曲は歌唱力が求められる。ボブディランみたいに、自分流(ウディガスリー調なのか?)に歌いこなすのも大変だと思うけれど、それよりも、オーソドックスでありながら、人の心をつかむように歌うのは至難の技だと思う。レイ・プライスはそれをやってのける。

センチメンタルな気分になった時、まあ、一度聞いてみてください。レイ・プライスの Danny Boy。