John HugheyとThe Time Jumpers

Western Swingの名盤と言えば、Bob willsのThe Tiffany Transcriptionsが決定版だと思うけれど、そういう古いのではなくて、今を生きるミュージシャンのアルバムも忘れてはいけない。

もちろん、Asleep at the Wheelのアルバムはどれも素晴らしく、Bob Willsと並べられて語られるほど、今現役のバンドとしては最高峰なのだろうと思う。けれど、Asleep at the Wheelが上がるだけで、なかなか次が上がってこない。

そこで、自分のCDラックを見てみたのだけれど、バリバリのウェスタンスイングのアルバムと言うのが、あまりない。最近はあんまり流行らないのか、それともBob Willsのバンドが決定打だからそれ以上のアルバムを作るのが難しいのか、真相はわからない。

ナッシュビルの凄腕ミュージシャンが集まってやっているバンドでThe Time Jumpersというのがいる。この、方々のアルバムは、どこかちょっとウェスタンスイングの香りがして、なかなか素晴らしい。

私は、アルバム一枚しか持っていないのだけれど、ペダルスティールのPaul Franklinがいい味を出している。

この Paul Franklinは当代きっての名手なのだ。The Time JumpersでもVince Gillと共演しているけれど、Vince Gillとベイカーズフィールドカントリーのカバーアルバムを出していて、そこでも凄腕ぶりを発揮している。

The Time Jumpersのスティールギターと言えば、名手John Hugheyがかつて在籍していた。彼のスティールギターは、とても味わい深く、特にバラードを弾かせると右に出るものはいない。

YouTubeでJohn HugheyがThe Time Jumpersと名曲Sweet Memoriesを弾いている動画を見ることができるけれど、このスティールソロが素晴らしい。スティールソロはもちろんの事、歌も含めて、その演奏自体が素晴らしくて、観ていると必ず感動してしまう。

The Time Jumpers、もっとたくさんアルバム出してくれないかな。特に、カントリーの名曲集のカバーアルバムなんかを出してくれたら、嬉しい。

いつかはLeon McAuliffeのように

Leon McAuliffeというスティールギター奏者がいる。このブログでも何度か紹介したような、していないような。Bob Willsのバンドでスティールギターを長い間弾いていた名手である。

Bob Willsのバンドを去った後も自身のバンドを引き連れふるき良きウェスタンスイングを演奏し続けた。彼の音楽は、明るく前向きで、さすがはウェスタンスイング、時にジャジーで時にカントリーテイストありの盛りだくさんの音楽である。

彼は、クアトロネックの8弦スチールギターを演奏していた。彼のチューニングは、幾つかのウェブサイトで公開されているけれど、ジャズの複雑なコードワークを難なくこなしてしまうわけだから、かなり凝ったチューニングだ。

ウェスタンスイングではA6thチューニングを使うことが多いらしいのだけれど、A6thチューニングの教則本は私の知る限りすぐに手に入るようなものは出ていない。Leon McAuliffeの場合は、他に3本もネックがあるからそれぞれのチューニングをマスターするのは相当至難の技だろう。

私は、彼の演奏が好きで、彼のように自由自在にスティールギターを弾けるようになれればと憧れはするのだけれど、とうてい無理な相談だ。それでも、スティールギターは好きなので、スタンダードなC6thチューニングで練習している。

ずっと8弦の楽器で練習していたのだけれど、この度6弦の楽器を弾いてみたら、やっと少しずつこのチューニングのメカニズムがわかってきた。いや、わかってきたような気がする。弦が2本減るだけで、できることはうーんと狭まるのだけれど、その分シンプルになって弾きやすくなった。教則本を見るときも、弦の数が2本減ったので、めっぽう教則譜を読みやすくなった。

この調子でいくと、もう少しで曲を一曲弾けるようになりそうだ。

新しい楽器で曲を弾けるようになるという喜びを久しぶりに味わっている。いつか、死ぬまでにはLeon McAuliffeのフレーズを自由自在に弾けるようになりたい。

6弦、8弦それぞれの魅力 Fender Steel Guitars

大は小を兼ねるというので、スティールギターも6弦より8弦、8弦より10弦の方がすぐれているように思っていたのだけれど、思いがけなく6弦のスティールギターを弾いてみたら、これがまた奥が深い。

ついつい、手に入れてしまった。Fenderの Studio Deluxe。

8弦の方ができることは多いのは確かなんだけれど、Studio Deluxeは弦が少ない分だけ覚えやすい。ペダルスティールギターなんかは10弦もあるから、世界中のあらゆるコードを鳴らせるんだけれど、そのコードを覚えるにも、複雑すぎて頭がついていかない。

ここはスティールギターの基本、6弦の楽器を練習してみようと思い立ち弾いてみると、少しだけシンプルなので面白い。シンプルと言っても、バーのスラントをすればメジャーセブンスも鳴らせるのだから、これはこれでそこそこ複雑だ。

大橋節夫はこの楽器で世界を制覇したのだから、私だって世界制覇とまではいかなくてもある程度マスターすることができるのではないかという夢を与えてくれる。

これから、頑張って少しずつ練習していこう。

せめて聴く音楽ぐらいは明るくなきゃ Leon McAuliffe

生きていると、いろいろなことがあり、気分が浮かれたり、気分が沈んだりするものだ。ましてや、昨今のこの伝染病の流行る流行らないの毎日だと、気分が滅入ってしまう。私なんぞ、ここ二ヶ月ぐらいずっと気分が滅入っている。

なんと言おうか、ずっと頭の中に暗い影が残るようなそんな気分だ。楽しいことがないわけでもない。美味しいものを食べていないわけでもない。むしろ、楽しいことがあったり、買い物をしたり、美味しいものを食べたりは積極的にしているのだけれど、不思議とこの頭の中の暗い靄はいつまでも消えない。

いっそのこと、お祓いにでも行こうかとすら思っている。お祓いが効くか効かないかはとくに気にしていないのだが、そういうようなことをすると、なんだか少し踏ん切りがついて、本来すべきことや、本来感じるべき感情とかがなんとなく掴めるきっかけになるのではないかと思っている。

しかしまあ、お祓いをしたところで、どのくらいの解決になるかはわからないし、それまで待っていて何もしないと、どんどんネガティブな気分になってしまう。それでは、毎日がおもしろくない。そこで、一時的なカンフル剤かもしれないけれど、いろいろな音楽を聴いている。

ときにしみったれた音楽を、ときに軽快な音楽を、ときに荘厳な音楽をと考えているのだけれど、なかなか体と気分が付いてこない。そこで、その時その時聴ける音楽を聴くことにしている。無理して、聴きたくない音楽を聴けるほど人間は暇ではない。

今日は、少し軽快な、ウェスタンスイングを聴いている。Leon McAuliffeのバンドLeon McAuliffe & his Cimarron boysだ。

レオン・マックリーフは元々Bob Willsのプレイボーイズの中心人物だったスティールギタープレーヤーだ。4本ネックの凄い奴を自在に操って、ジャズでもカントリーでも、なんでもこなしてしまう。巧みにポジションを移動しながら、スティールギター独特のサウンドを鳴らしまくる。これだけで、ウェスタンスイング好きにはたまらない。

ボブウィルスのバンドも豪華な編成だが、レオンのバンドも同様に、フィドルやホーンセクションが入っていて、スウィングビッグバンドである。常に陽気で、それがちょっと疲れる時もあるのだけれど、ウェスタンスイングに暗いムードは似合わないのかもしれない。これはこれで、こういう音楽として成り立っているのだからよしとしよう。

ウェスタンスイングはカントリーミュージックの一つのルーツとも言えるけれど、むしろ一つの派生系と言ったほうが正しいのかもしれない。悲しいかな、日本のレコード屋には滅多に売られていない。こういう音楽を今更聴こうという人は本国アメリカでも少ないのかもしれないけれど、もっともっと見直されても良いジャンルの音楽だと思う。

日本でヴァイオリンときたら、十中八九がクラシック音楽で、ごく稀にジャズをやっている人がいるぐらい。ウェスタンスイングをやったり、ブルーグラスをやろうなどという人たちはごく少数だ。アメリカでは、ヴァイオリンといえば、クラシックのお坊ちゃん、お嬢ちゃんたちだけの楽器ではなくて、カントリーやら、ロックやらでもヴァイオリン(フィドルとか呼ばれているけれど)を弾いている人もそこそこいるのではないだろうか。

大草原の小さい家の、お父さんもフィドルを弾いたりしているし。アメリカのテレビの音楽番組ではマークーオコナーというヴァイオリニストが長年ホストを務めていたりする。マークーオコナーは、ブルーグラスプレーヤーだけれど、引かせようと思ったら、ジャズだろうと、ロックだろうと、ウェスタンスイングだろうと、なんだって弾ける。

スチールギターも、日本ではあんまり競技人口は多くないけれど、本国アメリカではまだそこそこ作っているメーカーがあるぐらいだから、盛んなのではないだろうか。5年ぐらい前にナッシュビルに出張で行った際に、ライブハウスでスチールギターを弾きまくっているお兄さんが居たから、そうに違いないと思っているのだけれど、実際のところどうなんだろう。

まあ、とにかくウェスタンスイングが、いかに盛んでも、いかに衰退していても、このLeon McAuliffeのアルバムを聴いていれば、いかに素敵な音楽かをわかってもらえるだろう。

バディーエモンズの脅威

ペダルスチールギターについて、過去に何度かこのブログでも書いたけれど、チャレンジしては挫折してを繰り返し、ちっとも上達しない。私の書斎の一等地にこのペダルスチールギターという楽器が鎮座しており、いつでも練習できるのだけれど、なかなか練習しようという気持ちが湧いてこない。難しすぎるのだ。

今夜は帰宅してから、このペダルスチールギターという楽器の弦を交換した。今年の私の誕生日に妻に買ってもらったFender 400というスチールギター。

弦が錆びていたわけではないのだけれど、どうも今までのチューニングではどうしても弾けないフレーズがあり、E9thチューニングにチューニングし直したのだ。同時にペダルのセッティングも変更した。

これで、弾けるフレーズは増えたはずなのだけれど、どうもまた複雑になってしまった。E9thチューニングはペダルスチールギターの開祖、バディーエモンズが開発したチューニングで、まさに万能チューニングなのだが、慣れないとこれほど難しいチューニングはない。特に1弦と2弦のチューニングが3弦よりも低いことに初めは戸惑う。これらの弦はどのように使えばいいのか、と戸惑うのだ。

しかし、練習しているうちに、この2本の弦のありがたさがじわじわとわかってくる。メロディーを弾くときにどうしても必要な弦なのだ。

楽器の方は、目下練習中なので、詳しい話はまた今度にする。

今夜は、スチールギターの巨匠、バディーエモンズのCDを聴いている。

複雑なハーモニーをこの複雑な楽器でプレイするのは並大抵のことではないだろう。しかし、バディーエモンズは、それをいとも簡単に行ってしまう。スチールギターという楽器でどこまで表現できるかの究極をこの人は追い求めていたのだろう。

アップテンポの曲でのスピードピッキングも凄いのだけれど、バラードを演奏する時の和音の使い方が凄まじい。6弦のギターでは再現不可能な和音を駆使して、ジャジーに鳴らしたり、カントリー調にしたり、聴いている私たちを楽しませてくれる。

ペダルスチールギターを聴いたことがない方は、まず、このバディーエモンズから聞いてみてください。スチールギターのイメージが変わります。

じっくり聴けるアルバムは多くないけれど、素晴らしい音楽家 Chet Atkins

カントリー音楽を聴き始めてから随分経つけれど、Chet Atkinsを好きになったのは聴き始めたからずっと経ってからだった。

そもそも、チェットアトキンスは夥しい数のアルバムを出していて、まず初めにどれを聴けば良いかよく分からない。今でこそカントリーミュージックのディスクガイドのようなものも何冊か出ているけれども、それは、ここ数年でカントリーミュージックがある程度再評価されてきたおかげかもしれないし、ひょっとしたら、私の知らないところでカントリーがブームになっているのかもしれない(いや、それはないか)。かつては、そんな便利なものは無かった。

とにかく、何の手引きもないところで、ギターのインストロメンタルのアルバムを片っ端から聴くというのはなかなか大変な作業だ。その上、誤解を恐れずにいうと、Chet Atkinsの脂がのっていた頃のアルバムで、一枚じっくり聴きこめるような名盤は何枚あるだろう?RCA時代から、たくさんのヒット曲はあるけれど、どちらかと言うとラジオで聴いたり、何かのBGMで聞く程度で、自宅のステレオでじっくりアルバムを聴くような類いの音楽ではないのかもしれない。

けれども、私は、Chet Atkinsの音楽がとても好きで、手の届かない憧れのギタリストでもある。それは、彼が凄いテクニシャンというだけでなく、彼の音楽がうるさすぎず、テクニックをそれほどひけらかさないところに好感を持っているのかもしれない。そして、何よりも、独特の懐かしさと豊かさを彼の音楽から感じるのだ。

それでは、チェットアトキンスをいざ聴こうというときにどのアルバムから聴けば良いだろう。

いきなりデュエット盤を推薦するのも恐縮なのだけれど、Les Paulとの共演盤「Chester Lester」を私は推したい。このアルバムで、チェットアトキンスとレスポールはとてもリラックスしたムードで、かつかなり高度なテクニックを駆使してギターインストを繰り広げている。

ギターインストといえば、どうも弾きまくりのアルバムが多くて、聴いていると疲れてしまうのだ。このアルバムも弾きまくりには違いはないのだけれど、そういう疲れのようなものは不思議と感じさせない。何だかChet AtkinsとLes Paulの二人がデュエットを楽しんでいるかのようで聴いているこっちも力まずにいることができる。(当の本人たちは、一生懸命やっているのだろうけれど)

そういう意味で、このアルバムはチェットアトキンスの入門盤に丁度良い。そして、それだけでなく、このアルバムの曲はどれもがアメリカ音楽のスタンダード曲ぞろいだというのも良い。どこかで聞いたことのあるメロディーをギターの名手二人が弾くんだから悪いわけがない。

チェットアトキンスの名盤は少ないような気がすると書いたけれど、彼のレコードについて語るべきことはたくさんあって、語りきれないかもしれない。たとえ、それが所謂「名盤」と呼べるようなアルバムではなかったとしても、ギタリストだけでなく、多くの音楽好きにとってたくさんの発見があるレコードばかりだからだ。

まあ、とりあえず、持っている人も、持っていない人も、聴いてみてください。「Chester Lester」

 

黒と白で 1973Telecaster

私は、どうも黒いギターに弱いらしく、黒いギターばかり持っている。

中学の頃ギターを始めて手にした頃は、ずっとスリートーンサンバーストに憧れがあって、フェンダーのストラトはサンバーストが一番良いだろうと思っていた。

しかし、いつの間にか、手元には黒塗りつぶしのギターばかりが残っていた。

確かにサンバーストはエレキギターらしいし、あれはあれで美しいのだけれど、どうもものとしての存在感が強すぎて、つい眺めてばかりになってしまい、あまりじっくり弾きこむということをできなくなってしまうような気もする。まあ、気のせいなのだろうけれど。

その点、黒の塗りつぶしはシンプルでいて、飽きなくて、良い。食材の世界でも、黒酢、黒豚、黒にんにく、と黒は重宝されているけれど、ギターについても同じぐらい黒は重宝されても良いのではないか。

塗装の良し悪しが一番顕著に出るのも黒の塗りつぶしだと思う。サンバーストは、サンバーストであればなんとなくカッコがつくし、木目が透けている塗装はどうも、ごまかしがあるように感じる。黒は、いちばん簡単そうでいて、綺麗な黒の塗装というのはこれがまたなかなか奥深いものがある。

例えば、黒いピアノ、あれはあれでいて一般的だけれど、近年作られた黒塗りのピアノで、「ああ美しいな」と思わせるような黒を見たことがない。一部の高級ピアノを除いて、どれもつまらない黒である。

それが、ちょっと古い60年代ぐらいまでの黒いピアノは黒に引き締まった感じがするものがある。塗装が厚ぼったくなくて、黒に透明感があり(艶消しでも)、カブトムシのような黒でかっこいい。ああいうのが黒の理想形である。

それで、黒いギターに話を戻すと、これがなかなか美しい黒のギターは少ない。

そもそも、ギブソンはレスポールカスタム以外に黒のフィニッシュのギターを近年までほとんど作っていなかったし、フェンダーも70年代中盤まで黒はカスタムカラーだった。

最近になって、エボニーフィニッシュのレスポールスタンダードなんかもあるけれど、70年代まではレアカラーの部類である。

私の手元に1973年のFender Telecasterがある。ブラックフィニッシュで、ホワイトガードである。

70年代のテレキャスター、というか70年代のフェンダーもギブソンも、私が学生の頃ぐらいには新品の半値ぐらいか、もっと安く売っていた。ところが、ここに来て、少しづつ値段が上がっているのだ。

私が、始めて1979年のテレキャスターを20代の終わりに買った時は、12万円だった。もっとも、リフィニッシュで、改造箇所もいくつかあって、フレットは減りまくっていたけれど、それでも、今買うと倍ぐらいするようになってしまった。

70年代のテレキャスターは75年ぐらいを境にボディーがノーザンアッシュのものすごく重いやつになるので、サウンドも引き締まるというか、ちょっとバリバリという感じに変わるのだけれど、あれはあれで他のギターには出せない魅力がある。だから、75年から79年ぐらいのテレキャスターが好きだ。

ただ、あれだけでテレキャスターの音というものは語れなく、どうしても、テレキャスターといえば50年代のヴィンテージというところに回帰していく。けれど、50年代のヴィンテージは今や数百万円の値段が付いていて買うことができない。60年代の個体でも100万円はゆうに越してしまう。

そこに来て、71年から74年ぐらいまでのテレキャスターは、古き良きテレキャスターのテイストを残しつつ、バリバリと暴れる感じもあり、テレキャスターを語るには十分素晴らしいギターだと思う。

できれば、これからも、あまり値段が高騰しないで、誰にでも手がとどく値段帯でいてほしい70年代のテレキャスター。まだ、派生モデルが少なく、モデル名がシンプルに「Telecaster」だった時代の楽器を、ギターおじさん達のためにも買占めとかしないでおいてやってほしい。

73年のテレキャスター、

とても不器用ですが、素晴らしい楽器です。そして、ブラックフィニッシュです。

Lenny Breauという孤独

ピアニストは元来孤独な存在であるということを、先日まで働いていた職場で強く感じた。ピアニストは独りで完結するから、いつも孤独であると。

確かに、ピアノという楽器の特性上、一台の楽器でメロディー、コード、ベース総てのパートを受け持つことができる。私は、ピアニストではないから、詳しいことはわからないけれど、ピアニスト一人いれば、音楽は成り立つ。

それは、クラシックの世界だけでなく、ジャズにもピアノソロのアルバムは存在するし、ピアノソロのコンサートも開催されている。いわんやクラシックの世界でピアノは多くの場合ソロで演奏される。器楽の伴奏とか、室内楽、コンチェルトのソリストとしての演奏場面はあるけれど、クラシックでピアノの出番といえば、圧倒的にソロが多いのでは無いだろうか。

ピアノソロ、というものを鑑賞するのが私はあまり得意ではなかった。それは、クラシックもジャズも同じで、ピアノという楽器の音色だけでは、なんだか物足りないような、そんな気がしていたのだ。ピアノソロの弾き語り、というのであればその範疇では無いのだけれど、歌もなく、ただピアノのん音色だけで一つのコンサートを聴くというのは、これがまたなかなか疲れるのである。

ピアノソロの鑑賞には集中力が必要だ。

あの、「ピアノの音色」のなかに、歌をみいだして、そこに絡まる対旋律やハーモニーの妙味を聴き取るのはなかなか大変な作業である。そこには、オーケストラほどの多彩な音色は存在しないし、その一方で、ピアノの音色というのは思いの外多彩なのである。そこまで聴き込まなくては、ピアノの音楽というものは聞こえてこない。

ギターという楽器も、ピアノ同様に孤独な楽器である。こと、クラシックギターは多くの場合ソロで演奏されるという意味でもピアノと同様である。同様に、ソロで演奏される楽器でありながら、ギターはピアノほど多才な楽器ではない。できることに限りがある。音色のヴァリエーションも、ピアノほど様々ではない。

クラシックギターと一般に呼ばれる楽器は、フラメンコギターや、フォークギター、エレキギターと違い、ソロで聴かせることを想定して作られている。もちろん、エレキギターや、フォークギターでソロ演奏をする場合もあるのだけれど、クラシックギターの音色は、その他のギターに比べふくよかでいて、一音一音に芯があるようにできている。

Lenny Breauという、ギタリストがいる。彼は、チェット・アトキンスに見出されてデビューしているから、分類で言えば、もともとカントリーのギタリストなのかもしれないけれど、彼のキャリアのほとんどは、ソロのインプロヴァイゼーションを行っていたから、ジャズギタリストとも言えるし、既存の音楽のジャンルにとらわれない活動をしていたとも言える。

今夜は、その、レニーブローのCDを聴いている。

ギターソロで奏でられる、彼の音楽は、どこか暗く、乾いている。私は、彼のギターの音色が好きだし、彼が奏でる音楽も好きなのであるが、どうしても、それが心地よく感じられない。彼の演奏には、影があるし、その影は私を不安にさせ、暗い気持ちにさせる。

そんなCDを聴いいていると、落ち着きや、癒しというものとはまた違った自浄作用をもたらしてくれる。これは、クラシックギターの音色のもつ孤独さによるものかもしれない。

独りきりの世界に浸りたかったら、聴いてみてください。Lenny Breau。

 

 

Fuzzy Pedal Steel Productsでスチールギターをメンテしてもらった

全然まだ弾けていないのだけれど、Fuzzyという立川の砂川町にある日本で唯一のペダルスチールギターメーカーのPedal  Steel Guitarを一台持っている。 E9thとC6thのダブルネックなのだけれど、E9thの方はなんとなくペダルの使い方を理解しつつあるが、C6thのほうはちっともわからない。

ちっともわからなくて困っていて、仕方がないから、そのまま殆ど弾かずに書斎の一等地に置いてあった。それが、この度、もう少し練習してやろうと思い、キッチンの真ん中にアンプと一緒に置いた。これで、練習はしやすくなった。

折よく、カントリーのバンドの師匠から日本スチールギター協会の会報のバックナンバーを大量に譲ってもらった。

この会報に、いろいろなTAB譜が掲載されていて、毎号、E9th、C6th、C67thラップスチールギター各1曲ずつ課題曲が載っているのだけれど、これがなかなか勉強になる。早速、それらのTAB譜を頼りに練習をしている。

しかし、困ったことに、私はC6th側のパーツを流用しE9thのRKRのレバーのセッティングを変えて使っていたので、C6thのセッティングが通常のセッティングと違っていた。これでは、C6thのTAB譜通りに弾けない。

困った挙句、仕方がないのでFuzzyの藤井さんのところに楽器を持って行って、パーツを加えてもらった。

Fuzzyは立川からさらにモノレールと西武線を乗り継いで行ったところにあるのだけれど、キャリーカートも入れて30kgの楽器を持って行くのだから一苦労だった。それでも、自分の楽器を製造した場所に行くのだから、聖地巡礼のような気持ちになる。私の楽器には製造番号のようなものは書いていないので、いつ作られたものなのかはわからないけれど(中古で手に入れたわけだし)そんなに古いものではない。

私のカントリーのバンドのリーダーの楽器もFuzzyの楽器だ。リーダーが使っているんだから楽器の良さはわかっていた。だから、インターネット上で売りに出ていたのを発見し次第、すぐに購入した。

Fuzzyからパーツの取り付けが終わった楽器を引き取りに行き、自宅で組み上げてみたら、なんだかまた、この楽器で世界を変えてやろうというような、勇ましい気持ちになった。

さようなら。ありがとう、ウェスタンの名店 上野アメ横 Young

ウェスタンスタイルの洋服は、上野アメ横で揃えている。時々、アメリカの通信販売のSheplersなんかも利用するけれど、帽子なんかは、かぶってみなくてはサイズ的に合うかどうかもわからないので、実店舗で買うしかない。そこで、上野のウェスタンの専門店に出向いて買っている。

幸い、私は上野へは、すぐに出れるところに住んでいるため、不便はしていない。

上野アメ横でウェスタンスタイルの洋服を売っている店は、そう多くはない。かつてウェスタンが流行った頃は(そんなの何十年も前のことだが)もっとたくさんあったのだろうけれど、今は2〜3店舗しかない。ウェスタンの店は、今となっては上野アメ横でさえも、絶滅危惧種なのだ。

その、ウェスタンの店が、また一店その歴史に幕を閉じる。

上野アメ横Youngがその店だ。

今まで、多くのウェスタンシャツや、帽子をYoungで買ってきた。私のワードローブの大半はYoungのお世話になっている。私にとってYoungは無くてはならない店である。その、Youngがなくなる。

2020年の3月下旬までだという。

今、閉店セールをやっていて、全品30%引きになっている。私も、お別れに向けて、帽子とウェスタンシャツとループタイを買ってきた。なんとも悲しい買い物である。

上野の近くへ引越してきて約15年、足繁く通った店がまた一軒なくなってしまう。

さようなら。

ありがとう、Young