高価な譜面台

私は音楽が好きで、道楽でいろいろな楽器をいじるのだけれど、実を言うと楽譜はほとんど読めない。もちろん、どこがドだとかそういうことはト音記号とヘ音記号についてはわかるのだけれど、それ以外についてはからきしである。

それ以外、それ以外とはなんだ、音符がわかれば大体わかるでは無いか、と言われたことがあるけれど、あの、休符とか付点八分音符なんかが出てくるとリズムが取れないのだ。途中でわからなくなってしまう。これでは困ったことに、ピアノ譜でもなんでもわからない。

だから、大体はあてずっぽうに吹いたり弾いたり、歌ったりしている。

幸い、コードは読めるので、ピアノで右手で四分音符を刻んでいる分には苦労しない。それが、ギター譜やら、ペダルスチールの楽譜なんかに至っては、まったく読めない。謂わゆるTAB譜の類も読めない。なので、練習が大変である。いちいち音源を用意して、それで楽譜で音符を読んで当たりをつけて練習する。おかげで正確なリズムで覚えていない曲が多い。

複雑なジャズのソロを採譜したやつなんかを見ても、ディテイルがわからないので練習にならない。まあ、そもそも練習をあまりやらないので大勢に影響は無いのだけれど、楽譜が読めないというのはどうも具合が悪いのである。

そんな私も、今日楽譜というものを買ってきた。ハイドンのトランペットコンチェルトの楽譜である。

ハイドンのコンチェルトは、もちろん大作曲家の曲なので大変名曲なのだが、大変目曲の割に楽譜がシンプルである。(だからと言って簡単なわけでは無いけれど)とにかく、リズムもなんとなくわかる範囲で書かれている。わからないところはCDを聴けばいい。

それで、買ってきて、吹いてみたのだけれど、案の定なかなか手強い。音符の数が多く無いため、綺麗な音色、正確なリズムで吹かなければ途端に惨めな演奏になってしまう。(初めは練習曲からにすればよかったか)

それでも、なんとか一楽章はカデンツァ以外はゆっくりであれば吹けなくも無いようになってきた。書斎の譜面台は、私のピアノである。アップライトピアノである。家を買ったときに、ピアノが欲しくて欲しくて、買ったアップライトピアノが今は書斎にある。これを譜面台にして練習している。高価な譜面台である。