1976 Fender Telecaster

どうも私は70年代のギターに偏愛癖がある。

偏愛癖という、日本語なのななんなのかわからない言葉を使ってしまったが、70年代のギターはどれも一定の完成度と、一定の出来の悪さが同居していて良い。という話は、このブログのどこかですでに書いているかもしれない。

フェンダーに関して言えば、塗装、作りの良さは50年代に勝るものはないかもしれない。60年代も量産体制が整っていて、出来の良いものが多い。70年代のもの、特に70年代後期のものは、ネックジョイントはグラグラだし、塗装も出来の悪いポリ塗装で本当に嫌になってしまうようなギターが多い。テレキャスターもストラトキャスターも74年頃のモデルと70年代後期のモデルを持っているけれど、前者に比べ後者は格段にテキトウな造りである。

ボディー材も76年頃を境にやけに重たくなるし、ネックの作りすらどこか違っているような気がする。

それでも、70年代の楽器が好きなのは、70年代は迷走の10年だからである。60年代にほぼ完成の域に達したエレキギターを、次にどう味付けしようかを悩んでいる姿が良い。

この際、ギブソンやら他のメーカーは置いておいて、フェンダーに関してのみ話をすると、同じ値段を出すなら、クオリティーでは90年代以降の方が良いものは多いのではないだろうか。しかしながら、70年代のフェンダーの良さは、その個性の強さである。悪く言えば扱いづらさ、よく言えば、、よく言えばなんであろうか。

70年代という時代をリアルタイムで知らない私は、70年代のミュージックシーンについて何も知らない。よく考えると、70年代の音楽は殆ど聴いていないかもしれない。持っているのだろうけれど、意識的にじっくり聴いてみたことはない。けれど、70年代の楽器を触る時、その雑さに混在するエッジの立ったブライトな音色は何者にも変えづらいと感じる。とくにテレキャスターに関して言えば、70年代のテレのリアピックアップから出るような凶暴でトレブリーなサウンドはどこに出しても恥ずかしくない。こいつは、これで10年近くを勝負してきたのだ、という自信のようなものがみなぎっている。

アンサンブルに溶け込もうとか、太い音色を出そうとか、そういったことは一切考えていない、「目立つ」「ギラギラした」音。なかなか他の時代の楽器では再現できない。一度、クロアチアのピックアップメーカーにオーダーして、70年代のテレキャスターのような凶暴な音のピックアップを作ってもらったことがある。出来上がってきて、それはそれで凶暴なのだけれど、今のフェンダーメキシコにつけて使ったところ、どうも何かが違う。どこか使いやすいのだ。これではいかん。万能な楽器になってしまっているではないか。

今日、帰宅して、自宅のキッチンに並べている楽器を整理していたら、1976年製のテレキャスターが出てきた。出てきた、と言っても、買って持っていることは知っているのだが、どうもネックの塗装がボロボロすぎて使っていなかったのだ。勿体ない。これが、また、ものすごく凶暴な音がする。ロイブキャナンもびっくりな個性の強いテレキャスターのサウンドだ。

あまりにも塗装の状態がひどいので、1978年のRhodesピアノから取ったRhodesのロゴバッジを貼り付けてある。いつかこいつの、ネックの塗装をやり直して、使えるギターに仕上げて、現場でガンガン使いたいと思っている。

ブラックフィニッシュにブラックガード。なかなか存在感があるギターである。どこか、塗装が上手いお店をご存知の方は教えて欲しい。70年代後期らしく、ポリ塗装を施してやりたいと考えている。

「1976 Fender Telecaster」への1件のフィードバック

  1. CBSに買収されてからの、
    フェンダー社の凋落ぶりを、
    ギター雑誌のフェンダー・アンプの特集で読みました(もしかしたらお読みになりましたか?)。
    そのどん底が70年代だったらしいのです。
    そこから何とか復活し、
    今現在の、同社のギターやアンプは、確かにすばらしいようです。

    僕は70年代を、まんま10代で過ごしました。
    確かに、フェンダーやギブスンのギターを楽器屋さんで手にすると、
    素人目、若造の目にも作りが粗く、おしなべて重たく、
    当時の国産ギターのほうがよほどよく作ってあるように観えました。
    音も、「きれい」だったと…。

    でも、どうしてだろう。
    高校2年だったか。
    バイト代を元手にギブスンを買ったのです(後にトーカイのストラトのコピーも買ったけれど)。高校生なのにローンで! って契約書にサインなんかした覚えがない。
    店長さんが、「毎月払えるだけ持ってきてね」って。

    決め手は、「上等舶来!」の見栄もですが、
    曲を弾いたときの鳴り方だったのです(と思うのです)。
    「う~ん、やっぱりこれだな!。これしかないな!」と。

    でも、う~ん、スミマセン。
    口でうまく言えないなぁ~。

    結局、好きな鳴り方と弾き心地だったんだ(きっと)。

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