私のカントリーミュージックへの入り口 Garth Brooks ”the hits”

一番最初に買ったカントリーミュージックのCDはGarth Brooksのベスト盤だった。高校1年生か、中学3年生ぐらいの頃だったと思う。当時ガースブルックスが何者かはまったく知らなかったけれど、中古CD屋で見かけたテンガロンハットをかぶったジャケット写真から、これは確実にカントリーのCDだとわかった。そして、めちゃくちゃ安かった。きっと400円もしなかったと思う。

だから、試しに買って聴いてみた。

すぐに、そのサウンドが気に入った。フィドルやスチールギターの入った音楽はほぼ初めて聴いたのだけれど、すぐに心地よさを感じた。カントリー独特の歌いかたにはなんだか面食らったが、これは、このおじさん独特の歌いかたなんだろう、と思い、受け流した。歌い方から言ったら、戦前のブルースの方がずっとへんな歌いかただったので、このぐらいの違和感には免疫ができていたのだ。

カントリーのミュージシャンを他に知らなかったので、2年ぐらいはカントリーといえば、このアルバムばかりを聴いた。ベスト盤だったので、入門者の私にはちょうど良かった。当時は、グーグルもYouTubeもなかったから、タワレコのカントリーのコーナーに行くぐらいしか札幌でカントリーの音楽を調べる方法はなかったけれど、そもそも、当時のタワレコにカントリーのコーナーがあったかも覚えていない。そういうところには近づかないようにしていた。

なので、2年ぐらい、カントリーとはこういうもんだと思っていた。基本的には間違っていなかったのだけれど、ウィリーネルソンもハンクウィリアムズも知らなかったから、カントリーミュージックのほんの一面しか知らなかった。

けれども、それでラッキーだったとも言える。自分の中でカントリーの標準を2年間このベスト盤を聴き込むことによって形成できた。これが、今のような便利な時代だと、いろいろ聴けすぎてしまって、何が一体カントリーなのかよくわからずにいたと思う。

そんなこともあって、初めてウィリーネルソンを「発見」した時の衝撃はすごかった。なんて、表現の幅が豊かな音楽なんだろう、って思った。それまで、カントリーといえばガースブルックスのようなさらりとして、あんまり毒のない音楽だと思っていたのだけれど、ウィリーネルソンはなんだか生々しくて、インパクトのある音楽でびっくりした。

そのあと、何年も経ってジミーロジャーズとか、ハンクウイリアムスやらのさらに生々しく毒々しいカントリー音楽を知って、カントリーの深い淵を覗き見てしまった気がした。入り口がガースブルックスだったから、なおさらそういう生々しい音楽への体の反応がシャープだった。

シャープだったからこそカントリーという音楽を好きになれたんだと思う。これが、初めっからハンクウィリアムズから入っていたら、好きにならなかったかもしれない。ガースブルックスはそういう意味では、誰にとっても口当たりのいいテイストだったから良かった。

今ではあんまり聴かなくなってしまったが、そういう意味ではガースブルックスにとても感謝している。

今夜、数年ぶりにGarth Brooks “the hits”を聴いた。じっくり聴いたのは高校ぶりぐらいかもしれない。

20年の時を経て、彼の音楽は色褪せていなかった。

やっぱり、エンターテイメントの世界であれだけ完成された人は、20年ぐらいじゃ色褪せないんだな。

「私のカントリーミュージックへの入り口 Garth Brooks ”the hits”」への2件のフィードバック

  1. 初めまして。私は帯広在住のカントリー好きです。
    いまでも札幌にお住まいなのでしょうか?
    ススキノの「Sunny’s Bar」はご存じですか?

    1. 実は今は札幌には住んでいないのです。
      残念です。ススキノの「Sunny’s Bar」はカントリーのお店ですか?

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